【主張】文献調査開始 核のごみ処分への一歩だ

 北海道寿都町と神恵内村が受け入れた高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定のための「文献調査」が正式に動きだす。

 調査を担当する原子力発電環境整備機構(NUMO)に対して17日、事業を監督する経済産業省から実施の許可が下りたためである。

 原子力発電で発生する、高レベル放射性廃棄物の地層処分地探しの第1段階に当たる文献調査が行われるのは、国内で初めてのことである。

 地元には反対意見もあるが、不毛な対立や分裂につなげてはならない。文献調査そのものには、核のごみ問題解決の必要性を国民全体で考える好機であるという認識も持ってもらいたい。

 寿都町と神恵内村では今後、約2年間、NUMOが両地域に関する既存の地質調査資料や論文類の分析に当たる。この文献調査の目的は第2段階の「概要調査」の適地(数キロ四方)を探すことだ。

 同時に住民には地域の地下構造をはじめとする地質情報の提供が行われ、地下300メートル以深の岩盤中に多重防護を施した核のごみを埋設する地層処分への理解を深めてもらう。

 また期間中にNUMOは、町と村や住民と双方向のコミュニケーションを取りつつ処分事業が地域の社会経済に及ぼす効果を踏まえての将来ビジョンを描く活動にも関与する計画だ。

 地層処分は、核のごみの最も適切な最終処分の形態として世界の原子力発電国での共通認識となっている。

 日本では文献調査が緒についたところだが、フィンランドとスウェーデンでは既に処分地が決まっており、フランスが両国に続く進捗(しんちょく)度だ。

 スウェーデンの処分地の市長からは「ごみ捨て場ではなく、ハイテク技術が集まる工業地域になるとの前向きのイメージを市民と共有できた」とのメッセージが発せられている。NUMOには先行する国々から風評被害対策の具体的な知恵を積極的に吸収してもらいたい。

 処分地選定の多様性を増すためにも北海道以外の市町村からも文献調査に応募の手が挙がることが望ましい。処分事業は今後、100年にわたって続く。若い世代の理解促進に向けた国からの働きかけが不可欠だ。

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