【主張】日豪首脳会談 安保協力を新たな次元へ

 菅義偉首相が、来日したオーストラリアのモリソン首相と会談し、中国の覇権主義的な海洋進出などを念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携を強める方針で一致した。

 「特別な戦略的パートナーシップ」の下での安全保障・防衛協力を「新たな次元へ引き上げる」とも表明した。来年早期に外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を開催することを決め、自衛隊と豪軍の共同訓練などに関する「円滑化協定」締結で大枠合意した。

 新型コロナウイルス禍の下、日豪の首脳が直接会って安全保障協力を確認した意義は大きい。

 両国は、2国間や米国を交えた軍事演習を重ねて弾薬を含む物品役務相互提供協定(ACSA)を結ぶなど「準同盟」と呼ばれる安保関係を築いてきた。中国の海洋進出に脅威を覚える一方、経済的には中国と密接な関係にあるという類似点がある。日本は中国から尖閣諸島を脅かされ、豪州は自国産品の不当な輸入規制を受けている。日豪が連携して中国に対抗することは理にかなっている。

 「日豪準同盟」を強め、両国とインド太平洋地域の平和と安全を確かなものにしていきたい。

 菅首相が国内で外国首脳と会談したのは初めてだ。モリソン首相は帰国後14日間の自主隔離が必要になるが、あえて訪日して菅首相と会談することを選んだ。

 今回の首脳会談は、中国と米国へのシグナル発信を強く意識したものといえる。

 両首相は、中国が覇権主義的な海洋進出を図る南シナ海、東シナ海について、「深刻な懸念」を表明した。香港情勢には「重大な懸念」を示した。

 菅首相は円滑化協定について「地域の平和と安定に貢献する日豪の意思を強固に支えるものだ」と述べた。モリソン首相は「日豪は自由と民主主義を享受し、志を同じくする国として特別な責任を有している」と語った。これらの発言は、地域の平和を乱す中国を牽制(けんせい)するもので評価できる。

 政権移行期の米国を意識した会談でもあった。バイデン次期政権は、トランプ政権が日豪やインドと推進してきた「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現を継承するかを問われている。日豪のシグナルを受け止め、バイデン次期政権もこの構想を推進してもらいたい。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ