【主張】パラオへの支援 「太平洋」の対中傾斜阻め

 日本と米国、オーストラリアが、太平洋の島国パラオへの光海底ケーブル敷設事業を支援することになった。

 「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて日米豪が連携するインフラ投資の初の案件だ。太平洋の島嶼(とうしょ)国へ勢力拡大を図る中国を牽制(けんせい)する効果が期待される。

 シンガポールと米西海岸を結ぶ光海底ケーブルの支線として建設する。日米豪の政府系金融機関が3000万ドル(約31億円)を協調融資する。

 パラオはフィリピンの東方約千キロに位置する。また、日本の小笠原諸島、米領グアムから延びる「第2列島線」上にある。有事や国際情勢の緊張時に南シナ海の航行が困難になった際に代替となる海上交通路(シーレーン)付近でもある。第一次世界大戦後から先の大戦の終戦までは日本の委任統治領で、南洋庁が置かれていた。歴史的に日本との縁は深い。

 10月28日にパラオ支援を発表した日米豪の外相、国務長官は、共同のビデオメッセージでインド太平洋地域で「質の高いインフラを提供していく」と表明した。

 中国は、太平洋の島嶼国を巨大経済圏構想「一帯一路」の対象として、インフラ投資や経済援助を持ちかけている。南太平洋のバヌアツなどへ軍事拠点建設を提案したとされる。

 光海底ケーブルは電子メールや国際電話などデータ通信の99%を扱う重要インフラだ。中国企業は近年、世界各地で敷設に参入している。米国は情報通信が中国政府に筒抜けになると懸念し、8月発表の「クリーン・ネットワーク」構想でも中国企業の排除を唱えている。日米豪のパラオ支援は安全なネットワーク形成に資する。

 自前の軍隊を持たず国防を米国に委ねるパラオは今年8月、米政府に対し、港湾や滑走路などを造り米軍が定期的に使用するよう要請した。米軍の施設が建設される見通しだ。

 台湾と外交関係を結ぶパラオに対し、中国政府が2017年、内部通達で中国人の団体旅行を禁じるなど圧力をかけてきた経緯がある。だが、今月3日のパラオ大統領選では台湾との外交関係を重視する候補が勝利した。

 日米豪は、パラオの光海底ケーブル支援を成功させ、太平洋の島嶼国の対中傾斜を食い止めるインフラ投資を広げてほしい。

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