【主張】日米電話会談 能動的に同盟強化を図れ

 菅義偉首相が、米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領と初めて電話会談し、日米同盟の強化と「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け協力していくことで一致した。

 バイデン氏は尖閣諸島(沖縄県)について、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲だと明言した。新型コロナウイルスや地球温暖化問題での連携を確認した。菅首相は、次期正副大統領の選出に祝意を伝えるとともに、日本人拉致問題への協力を要請した。

 電話会談は約15分間だったが、来年1月のバイデン政権発足を前に首脳間で確認しておくべき課題を取り上げ、内外に日米の結束が続くと発信できた。

 両氏はできるだけ早期に会うことでも一致した。新型コロナ禍の下だが、菅氏は積極的に機会をつくって訪米し、直接会談を実現すべきである。

 菅首相や政府は今後、バイデン氏とその政権を担う関係者との間で、中国に対する認識や戦略、政策のすり合わせと日米同盟強化の具体策について話し合ってもらいたい。

 その際、米側の要望を聞いて対応するという受け身の姿勢をとってはいけない。こちらから日本の考えや方針を伝え、日本や地域の安定に資する政策をバイデン政権が採用するように促す能動的な姿勢をとることが望ましい。それは、安倍晋三前首相が形作った、国際社会の中で存在感のある日本を保つ道でもある。

 安倍前政権は安保関連法制定で日米の守り合う関係を整えた。その実績をバイデン氏らに説明するのは当然だが、それだけでは十分でない。中国の覇権主義的な海洋進出を抑止するための日本の新たな対応を考え、それをバイデン氏らに伝えることも欠かせない。

 バイデン氏による尖閣への日米安保適用確認は歓迎すべきだが、喜んで済む話ではない。中国外務省は「中国固有の領土だ」と反発した。菅首相と政府は尖閣を守り抜く決意と態勢を常に示しておかねばならない。それなしでは日中で紛争が生じても米政府・軍から円滑な協力を得られまい。

 中国問題は多岐にわたるが、台湾の自由と民主主義が守られることが日米両国の死活的利益に関わるという問題意識を共有していくことも必要である。

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