【主張】3次補正編成 「賢い支出」で経済支えよ

 新型コロナウイルスの感染拡大防止や景気回復を後押しするため、菅義偉首相が追加経済対策と令和2年度第3次補正予算の編成を指示した。

 今春の1次、2次補正は、コロナ禍で打撃を受けた経済・社会活動に対する緊急の「止血」が主眼だったが、今回は、コロナ後を見据えて経済を動かすことにも重きを置く。

 3次補正と3年度当初予算を一体で編成し、切れ目のない政策対応で、経済を民需主導の成長軌道に乗せたいという狙いである。

 景気は4~6月に底を打ち回復に向かいつつある。それでも戻りは遅く、コロナ前の水準に至るには時間を要しよう。官民のデジタル対応や働き方改革などの構造転換を根付かせ、経済を確実に再生する必要がある。これに資する実効性のある対策を求めたい。

 前提としてコロナ感染の広がりに目を配るべきは当然だ。北海道や東京などでは感染者増が顕著である。冬場にかけて、さらに増大する事態にならないか。この点を十分に見極めつつ、経済を動かす適切な対策を講じてほしい。

 対策は感染拡大防止策と経済構造転換、国土強靱(きょうじん)化の3本柱である。中小企業のデジタル投資への補助金やグリーン投資を促す制度といった首相の看板施策関連のほか、雇用調整助成金の上限引き上げの特例延長なども検討する。

 首相は効果的・効率的で即効性のある施策に重点化する「ワイズスペンディング(賢い支出)」を進めるという。そのためにも、まずは従来実施した企業支援や消費拡大策の効果を検証すべきだ。コロナ対策の予備費は7兆円以上残っているが、中小企業や個人事業主などに必要な資金が行き渡っているのかなども再点検したい。

 首相の看板施策に便乗し不要不急の予算を潜り込ませることがあってはならない。国土強靱化の公共事業は、予算を積み上げるだけではなく人手の確保を含めて円滑に執行できるかどうかを吟味すべきだ。補正で何を優先するのかを適切に判断することが大事だ。

 気がかりなのは、与党から30兆円の財政支出が必要などと金額ありきの意見が相次いでいることである。これまでの政策的な知見を踏まえずに予算規模ばかりを追求すると、効果の薄いばらまきを誘発しかねない。これでは到底、ワイズスペンディングとはならないことを銘記すべきだ。

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