【主張】競技会の感染防止 課題検証しルール作ろう

 新型コロナウイルス禍が広がる中でのスポーツイベントは、選手や観客らに感染の恐れがつきまとう。

 だが、選手が感染予防を徹底し、観客が節度を守った観戦に努めればリスクは押さえ込める。

 いたずらに恐れるのではなく、科学的な検証を通じて安全な開催につなげることが大事だ。

 東京では米国、中国、ロシアの選手が来日して体操の国際大会が開かれ、観客が3万人を超えるプロ野球の試合も行われた。いずれも来夏の東京五輪開催に向けた課題検証の位置づけである。

 柔道も無観客ながら国内大会を開催し、強化合宿を再開した競技団体も多い。社会経済活動を前進させる上でも、スポーツイベントの活性化は重要な指標になる。これらの動きを歓迎したい。

 体操の国際大会では海外の選手団が入国前から隔離され、日本での行動も厳しく制限された。東京五輪の選手村も同じ態勢が予想される。安全な五輪の開催には、世界のアスリートたちの理解と協力が不可欠だ。

 浮き彫りになった課題もある。五輪2連覇の実績を持つ内村航平は、感染していないのに検査で陽性と判定された。この「偽陽性」騒ぎで、日本勢は事前合宿地の施設が一時利用できなくなり、大会参加も危ぶまれた。

 ほかの競技大会でも起こり得ることだ。再検査の態勢づくり、濃厚接触者の特定や大会参加の可否判断など、東京五輪に向けた課題は多い。大会組織委員会などは今回の検証を急ぎ、ルール整備に反映させてほしい。

 東京ドームなどで行われたプロ野球の実証実験では、球場内に設置したカメラで観客の動きをとらえ、混雑緩和に努めた。スーパーコンピューターで観客の飛沫(ひまつ)の動きも解析するという。大勢の人が密集することに不安を訴える声もあるが、飛沫の科学的な検証は、観客の取るべき行動に指針を与えてくれるはずだ。

 観客がマスクを着けて応援する風景は日常になりつつある。歓声や応援歌、鳴り物を控え、好プレーには拍手を送る。そんなスタイルを、新たな観戦様式として根付かせたい。

 選手と観客、双方の努力がスポーツイベントの安全な開催につながる。その延長線上に東京五輪があることを忘れてはならない。

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