【主張】内モンゴル自治区 中国の人権弾圧に監視を

 中国共産党政権が内モンゴル自治区で、少数民族モンゴル族の子供に対し標準中国語(漢語)の教育を強化している。

 チベット族やウイグル族に続く強引な同化政策の一環であり、香港などに対する人権弾圧とも共通する。日本を含む国際社会は団結して中国の人権問題を徹底監視し、改善を迫るべきだ。

 内モンゴル自治区では9月の新学期から国語の授業で、漢語を使った全国統一の教科書を使うようになった。来年は道徳、再来年は歴史の教材についても同様に切り替える。モンゴル族の子供から、民族色を失わせる戦術だ。

 中国の習近平国家主席は9月、新疆ウイグル自治区に関する座談会に出席し、教育によって国家観、歴史観、宗教観を導き、「心の奥底に中華民族の共同体意識を植え付ける」と述べた。

 これは同化政策の強化宣言であり、少数民族に対する国際社会の人権侵害批判に対する露骨な開き直りだった。チベットやウイグルでは同化政策に難色を示すと要注意人物となり、職業訓練センターと呼称する強制収容所に送られているとされる。モンゴル族もまた、その対象となる。

 中国に約600万人いるモンゴル族が使うモンゴル語は、内モンゴル自治区と国境を接する隣国モンゴルの人々とほぼ同じだ。

 同化政策にはモンゴルでも反発が広がり、エルベグドルジ前大統領は、中国の政策を「文化的ジェノサイド(民族大量虐殺)だ」と非難した。これに中国の王毅国務委員兼外相はモンゴル側に「内政干渉をするな」と反発した。

 仏西部にあるナント歴史博物館では、モンゴルの英雄チンギスハンに関する来春の展示会が見送られた。産経新聞の取材に同館は「中国政府が7月ごろ、突然介入してきて、チンギスハンを展示から消すよう要求した」と理由を明かした。言語ばかりか、歴史まで抹消しようとする姿勢は常軌を逸したものだ。

 人権の擁護は普遍的な国際社会の価値観である。「内政干渉」とする中国側の反論は、何ら意味をなさない。米国の大統領選は混迷を深めているが、誰がその座に就こうが人権への監視を緩めてはならない。日本も同様である。中国に人権問題などの改善がみられない限り、習主席の国賓来日を白紙撤回すべきである。

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