【主張】米大統領選 混乱の長期化は望まない

 米大統領選は、民主党候補のバイデン前副大統領が当選に必要な選挙人の過半数獲得に向け優勢となり、共和党のトランプ大統領は逆転を狙い、法廷闘争を開始した。

 事前の大方の予想に反してトランプ氏は各州で得票を伸ばし、大接戦に持ち込んだ。

 僅差の敗戦を許せないのだろう。新型コロナウイルス禍で期日前投票や郵便投票がかつてないほどに広がり、開票作業に疑義の声を上げた形だ。

 訴訟も、選挙を戦い抜く手段の一つではあるのだろう。だが、法廷闘争は大混乱の長期化を招き、世界を不安定な状態に陥れる。

 超大国の指導者である米大統領には、それにふさわしい振る舞いを求めたい。

 軽率で不規則な発言は人々を巻き込み、バイデン陣営との溝を深めるだけだ。逆転が不可能と分かったら、よき敗者となる決断が求められるシーンもある。

 トランプ氏は4日未明の演説で「率直に言って、われわれは勝利した」と述べ、一方で「大きな不正が起きている」とも語った。その後、ツイッターへの投稿ではミシガン州などで「ひそかに大量の投票用紙が捨てられた」と根拠を示さず主張し、「重要州でリードしていたが、一つ一つ魔法のように消え始めた」とも訴えた。

 こうした発言は支持者をミスリードし、相手の敵愾(てきがい)心をあおるものだ。訴訟に持ち込むには、確固たる証拠が必要である。トランプ陣営は、ミシガンなど3州で「開票作業監視所へのアクセスができない」として集計停止を求めた。僅差のウィスコンシン州では「結果の妥当性に疑問がある」として再集計を要求している。

 そこに不正があるなら、厳格に対処するのは当然である。ただし大統領自身の乱暴な発言や不信をあおるような行為は慎むべきだろう。対立の激化は、いらぬ暴力に発展する可能性もある。

 トランプ氏は大統領として、厳しい対中姿勢を打ち出すなど、みるべき大きな貢献があった。

 それでも再選が難しくなっている原因に、自らの粗雑な発言や振る舞いに問題があったことを知るべきである。

 大統領選の結果に、世界が注視している。日本を含む各国がその影響を免れないからだ。トランプ氏の一挙手一投足が注目されていることを忘れないでほしい。

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