【主張】「学術会議」論戦 軍事研究妨害へ切り込め

 せっかく国会を開いても、問題の本質をとらえた論戦をしなければ国民の負託に応えられない。日本学術会議をめぐる質疑がその様相を呈しているのは残念だ。

 2、4日の衆院予算委員会では学術会議に多くの時間が割かれた。立憲民主、共産両党は、学術会議からの推薦名簿通りに菅義偉首相が会員を任命しなかった点を重ねて批判した。

 首をかしげざるを得ない。学術会議は法律で設置され、税金で運営される。会員は特別職国家公務員だ。国政選挙と国会の首相指名選挙を経て就任した首相による任命権の行使は、民主主義的コントロールそのものといえる。

 学術会議は政府から独立して科学に関する審議などを行う。だからこそ会員の選定は、首相による任命権の行使を含め丁寧に行われるべきだ。菅首相には、どのような観点で判断したか、もう少し詳しい説明を求めたい。

 共産の志位和夫委員長は「独裁政治に道を開く」「学問の自由が侵害される」と批判した。強い違和感を覚える。このような言葉は、中国共産党が支配するような全体主義の国に投げかけられるべきだ。今回の人事権行使で日本の学問の自由は揺るがない。

 菅首相や自民党が学術会議の行政改革に乗り出す姿勢を示したのは妥当だ。全国には約90万人の研究者がいる。菅首相は「閉鎖的で既得権益のようになっている。会員約200人、連携会員約2千人とのつながりがなければ会員になれない」と問題視した。

 構成の問題は在籍する大学・研究機関や男女比、年齢だけでなく、研究者の間で「本籍」と呼ばれることがある出身大学が、東京大や京都大などに偏っている点も是正したらどうか。

 学術会議をめぐる本質的な問題は、日本を守る抑止力の向上を妨げてきたことである。平成29年の声明で、軍事科学研究を「絶対に行わない」とした過去の声明の継承を宣言した。これこそ、全国の研究者の学問・研究の自由を脅かすものだ。なぜこの重大な問題を国会で論じないのか。

 日本を侵略しようとする国を抑止し、有事に撃退するには自衛隊の装備が優れていなくてはならない。そのための研究を妨げる学術会議の声明は撤回が急務だ。菅首相も与野党も、国民を守るための議論をしなくてはならない。

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