【主張】中国の5中総会 習氏独裁に一層の警戒を

 今の独りよがりな振る舞いを改めなければ、中国が「中等先進国」になる目標はかなわない。習近平政権はそのことに早く気づくべきだ。

 中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第5回総会(5中総会)が開かれ、2035年までに1人当たりの国内総生産(GDP)を「中等先進国」並みに引き上げる目標を決めた。

 内需拡大を基本としながら世界経済とも連携する「双循環」を目指すとした。「鍵となる核心技術で重大な突破(ブレークスルー)を実現する」ことも掲げた。

 外需依存の経済から内需主導型への移行を目指すものだ。米国との対立の激化に備える姿勢を鮮明にした。中等先進国について国営中央テレビ(電子版)は、3万ドル前後とする経済学者の見方を報じた。イタリアに迫る水準だ。

 習政権は、14億人の消費市場を武器に、チャイナマネーに追従するアジアやアフリカの中小国を引き連れ、米国が主導する、先端技術を含む経済デカップリング(切り離し)戦略に対抗しようというのだろう。

 だが、習政権は大事な点に目をつむっている。国際社会との協調と「自由」に基づく経済運営を伴わなければ、先進国にふさわしい経済社会の実現は至難であるということだ。自由と民主主義を重んじる世界から離れれば、先端技術のブレークスルーを相次いで起こすことなどかなうまい。

 習政権は、毛沢東時代の「自力更生」にも似たスローガンを連呼しているが、内向き志向を強めても展望はない。そのうえ5中総会のコミュニケは「訓練と戦争への備えを全面的に強化し、国家主権を防衛する戦略能力を高める」とした。核戦力を含む軍拡を進め、尖閣諸島(沖縄県)の奪取や南シナ海の覇権、台湾制圧をあきらめないのであれば、極めて危うい路線である。

 2年後に習氏の党総書記の2度目の任期が終わる。慣例では5中総会で後継含みの人事があるはずだが、何の動きもなかった。22年秋の党大会を経て3期目に突入しそうだ。

 党と軍、政府を支配する習氏が終身独裁を目指し、批判を受け入れないなら政策転換は難しく世界平和を乱し続けるだけだ。日本を含む国際社会は、独善的な習政権を一層用心する必要がある。

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