【主張】文化の日 心の豊かさ求め続けよう

 芸術や文化活動への渇望を、現代人がこれほど感じて過ごしたことはなかっただろう。

 新型コロナウイルス禍のもとでの文化の日となった。人間にとって文化とは何かと、改めて考えてみたい。

 新型コロナの感染拡大に伴って、音楽や美術など文化芸術の行事には自粛が求められた。

 各国も同様の事態となった。アーティストや文化芸術産業に従事する人たちの仕事が止まり、悲鳴が上がった。

 それでも、外出が制限されたイタリアでは人々が自宅のベランダに出て合唱した。この動画がインターネットに投稿され、世界の人々を励ました。

 日本でもオンライン形式の音楽ライブや、ネットを介して別の場所にいる人たちが合奏や演劇を楽しんだ。

 人間が技や精神を磨いて表現する芸術文化は、接する人の心を動かす。

 それまでの日常生活が難しくなったコロナ禍の中でも、人間ならではの営みで立ち向かっている証しともいえるのではないか。

 日本では緊急事態宣言が5月に解除され、芸術文化活動は少しずつ再開されてきた。入場制限を伴ってはいるが、会場を訪れた人々の表情は生き生きとしていた。

 ウイルス流行の収束はまだ見通せない。日本の感染者は延べ10万人を超えた。欧州では再び、外出の原則禁止や劇場などの閉鎖に踏み切った国も出ている。

 新型コロナ対策には万全を期さなければならない。不自由な暮らしは続く。それでも心の豊かさを求めていきたい。鑑賞の対価を払うことで、文化芸術に従事する人を支えることもできる。

 また、文化を広くとらえれば、人々の生活様式そのもののことでもある。コロナ時代の「新しい生活様式」を、感染症対策としてだけでなく暮らし方、文化としてとらえていきたい。

 暑い盛りの屋外でも、人がいればマスクを外さないことが、礼節の一部になった。もし自分が感染していても、他の人にウイルスをうつすまいという思いやりだ。おしゃれを意識したマスクも増えている。新型コロナに相対する時代であっても、ゆとりを感じさせてくれる。

 文化がもたらす豊かな心を共有し、困難を乗り切りたい。

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