【主張】首里城火災1年 国県が協力し再建遂げよ

 那覇市で昨年発生した首里城の火災から31日で1年がたつ。全焼した正殿などのがれきはすでに撤去され、首里城公園ではこの日、復興状況を見せる展示室などが一般公開された。

 再建への取り組みは着々と進んでいる。一方、火災の再発防止策など課題が残されているのも事実だ。国と沖縄県は密接に連携し、再建への道筋を確かなものにしてほしい。

 琉球王国の王府があった首里城は、今回を除いて過去に4回焼失し、そのたびに再建されてきた。とくに沖縄戦では米軍の砲爆撃で徹底的に破壊されたものの、本土復帰記念20年事業として平成4年に復元された。

 沖縄特有の赤瓦や朱色の漆塗りで彩られた正殿などは、年間280万人もの観光客らが訪れる沖縄のシンボルとなる。

 それが1年前、一夜にして焼け落ちた。

 再建を求める声は、すぐに全国から上がった。10月30日までに県や那覇市などに寄せられた再建支援の寄付金は50億円を超える。その中には、産経新聞社が読者から募った寄付金も含まれる。前回の再建で正殿にかかった工事費用約33億円を上回る額だ。

 国と県は、この重みをしっかりと受け止めてほしい。

 国はすでに、令和4年に正殿の本体工事に着工し、8年の完成を目指す工程表を策定している。その際、何より求められるのは、防火対策の強化だろう。

 例えば全焼した正殿などの防火設備は外部からの延焼防止に重点が置かれ、内部にスプリンクラーが設置されていなかった。国は今回、あらゆる事態を想定した防火対策を講じる必要がある。

 また、1年前の火災では夜間を想定した防災訓練が行われておらず、初期消火の課題も明らかになっている。こちらは県の管轄だ。国が担うハード面の対策と、県が行うソフト面の対策がかみ合ってこそ、再発防止につながると肝に銘じてもらいたい。

 このほか、現在は入手困難な資材の確保や伝統技術を持つ職人の育成など、国と県が連携して取り組むべき課題は少なくない。

 沖縄では、米軍基地問題などで国と県の対立がしばしば報じられる。しかし今回、両者が密接に協力し合えば、再建はさらに意義のあるものとなろう。

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