【主張】給付金の不正 事後点検の仕組み強化を

 新型コロナウイルスの影響で収入が減った事業者を支援する「持続化給付金」をめぐり、全国で詐取事件の摘発が相次いでいる。

 不正に受給した人は、大学生や地方公務員まで幅広い。知り合いやSNSで誘われ、軽い気持ちで犯罪行為に手を染めてしまった人も多い。

 相次ぐ摘発の報道を受け、中小企業庁などには「返金したい」との相談が殺到している。警察が受け付けた相談だけで1700件を超えた。

 給付金は政府の補助金で、その不正受給は重い犯罪だ。ただ、今回は早期支給のために政府が審査を迅速化した影響もある。このため、政府は不正受給者に自主的な返金を求める異例の呼びかけを始めた。

 給付後のチェック体制などを強化し、不正受給の取り締まりを徹底する必要がある。

 コロナ禍で打撃を受けた中小企業や個人事業主の事業継続を支援する持続化給付金は、最大200万円を給付する制度だ。5月から申請が始まり、今月19日までに約360万件(総額約4.7兆円)が支給された。

 緊急性が高いため、申請は原則としてネットで受け付け、確定申告などの一定の書類があれば、1カ月以内に支給している。厳格な審査を省略して早期支給を進めているが、これが不正を招く要因となった。

 京都府警が詐欺容疑で逮捕した同志社大生は、サークル仲間に給付金の申請を勧誘していた。沖縄では新聞社社員らが不正受給し、懲戒解雇された。SNSでは「指南役」が不正受給の方法を教え、給付金の一部を手数料として受け取っている。組織的な犯行の疑いもあり、実態解明が急務だ。

 不正受給者に自主的返還を促している中小企業庁は、調査が始まる前に申告すれば、加算金や延滞金などは科さない対応をとっている。だが、悪質な事例には刑事告発などの厳しい対応も不可欠だろう。不正受給が広がれば給付金の予算が不足し、本当に必要な事業者に届かなくなる恐れもある。

 新型コロナ対策の事業者支援は、持続化給付金のほかに家賃支援給付金などもある。これらは民間に事業委託されているが、そのチェックも政府の責任だ。警察とも連携し、不正受給の防止に努めねばならない。

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