【主張】拉致帰国18年 悲しみの日々に終止符を

 あの日の映像を忘れない。平成14年10月15日、羽田空港に着陸した特別機から、蓮池薫さんら5人の拉致被害者がタラップを下りてきた。

 同年9月17日には、訪朝した当時の小泉純一郎首相に、北朝鮮の金正日総書記が拉致を認めて謝罪していた。

 「拉致」は現実のものと頭では認識してはいても、実際に蓮池さんらがタラップを下り、家族と再会する映像は衝撃的でさえあった。

 あれから18年となる。それは同時に、一方的に死亡を告げられた横田めぐみさんら8人の家族にとって、怒りと悲しみの長く苦しい年月でもある。

 その間も偽の遺骨を送り付けられるなどの残酷な仕打ちがあり、再調査の約束は反故(ほご)にされたままだ。被害者も家族も一様に年を重ねている。

 13歳で拉致されためぐみさんも56歳となった。今年6月には、めぐみさんの父、滋さんが87歳で亡くなった。被害者の全員帰国、家族との再会という解決のゴールへ向けて残された時間は少ない。

 どうすれば解決できるか。18年前の原点に返るべきである。

 当時、米国のブッシュ政権は北朝鮮を「テロ支援国家」に指定し「悪の枢軸」と名指しして圧力を強めていた。そこへ小泉首相が自ら平壌に乗り込んで、独裁者に拉致を認めさせた。

 北朝鮮を動かすには、経済的、軍事的圧力を極限まで高め、拉致問題の進展以外に局面打開のチャンスはないと思い知らすことだ。他に道はない。

 軍事的圧力は米国をはじめとする国際社会に頼らざるを得ない。安倍晋三前首相が緊密な関係を築いたトランプ米大統領は、そうした圧力を背景に金正恩朝鮮労働党委員長との2度の直接会談に持ち込み、拉致問題を提起した。

 後継の菅義偉首相も同じ路線で圧力を強め、金正恩氏との直接交渉で拉致問題に終止符を打ってほしい。そうした外交交渉を支えるのは、国民の怒りである。

 帰国から18年に際して蓮池さんは産経新聞の取材に「日本政府、国民の拉致解決への意志が続くのか北朝鮮は見ている。今が最も大事な時期だ」と述べた。

 金正恩氏は経済政策の失敗を認めると同時に、軍事的虚勢を強めている。こうした混乱の芽を、交渉の好機ととらえたい。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ