【主張】わいせつ先生 教室に戻してはならない

 児童生徒らへのわいせつ行為で処分される教員が後を絶たない。教育全体への信頼を損なうものだ。彼らが再び教壇に立つことに保護者らが反対するのは当然である。

 文部科学省は、児童生徒へのわいせつ行為は原則、懲戒免職とする方針を教育委員会などに伝えてきた。それでも不祥事が連日のように報じられる。

 保護者らでつくる「全国学校ハラスメント被害者連絡会」などは児童生徒らへのわいせつ行為で懲戒免職処分となった教員に免許を再交付しないよう求める署名を文科省に提出した。

 現行の教員免許法では懲戒免職や禁錮以上の刑が確定した場合、免許は失効するが、3年後に再取得できる。これに対して再取得できるまでの期間延長や、再取得できないようにすることが検討されている。

 萩生田光一文科相が「わいせつ教員を教壇に戻さないという方向で法改正していきたい」と述べたのは当然である。

 首をかしげるのは「更生を阻害する」「法改正は、職業選択の自由をうたう憲法に反する」といった慎重意見があることだ。

 萩生田氏も「職業選択の自由を拒むことが憲法上できるのか大きな課題もある」などと言及し、どうやら腰砕けになっている。

 憲法22条1項は「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定めており、無制限にその自由を認めているわけではない。

 教え子へのわいせつ行為は、立場や力の違いを利用した極めて卑劣な犯罪である。政府が6月に決定した性犯罪・性暴力対策の強化方針でも教員のわいせつ行為に一層厳正な措置を求めている。

 文科省の平成30年度調査では、わいせつ行為により懲戒処分などを受けた公立小中高教員は282人で過去最悪を更新したが氷山の一角との指摘もある。わいせつ教員の勤務先の児童生徒や卒業生が被害者の半数に及ぶ。処分歴を隠して他地域で教壇に立ち、事件を繰り返す問題も起きている。

 更生の観点からも、児童生徒へのわいせつ教員を教室に戻すべきではない。薬物常習者の更生で大事なのは、薬物やこれを入手できる環境から遠ざけることだ。教室は彼らにとって更生に最も適さない環境であり、その復帰は児童生徒にとって恐怖でしかない。

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