【主張】国語世論調査 「乱れていない」は本当か

 文化庁の令和元年度の国語に関する世論調査で「今の国語は乱れていないと思う」と答えた人が初めて3割を超えた。

 言葉の乱れは常に指摘されてきた問題だが、近年SNS(会員制交流サイト)などの普及で表現が多様化し、言葉に対する意識が寛容になったことが背景にある。

 一方で敬語が気になる人も増え、ネット時代の国語のあり方が問われる。

 調査は今年2~3月に行われ、16歳以上の男女が回答した。「国語が乱れているか」との問いに「思う」と答えた人は66.1%、「思わない」は30.2%だった。約20年前の平成11年度比で「思う」人は85.8%から大幅に減り、「思わない」人は10.3%から約3倍に増えた。

 乱れていないと思う人にその理由を聞くと「言葉は時代によって変わるものだと思う」が最も高く、「多少の乱れがあっても、根本的には変わっていないと思う」が続いた。

 文化庁は「どうでもよくなったというわけではなく、気にはなるが、乱れとまではとらえていないのでは」と分析する。

 実際、14、19年度の調査ではさほど大きな変化はなく、変わったのはこの10年ほどだ。SNSが急速に発達し、絵文字など個人が多様な表現で情報発信できるようになった時期と重なる。

 一方で「乱れている」と答えた人に、どんな点かを聞くと、最も多かったのが「敬語の使い方」、続いて「若者言葉」だった。

 敬語について聞いた質問では「規則でそうなってございます」など、具体的に提示した8例すべてで気になると答えた人が従来の調査より増えていた。

 興味深いのは年代別内訳だ。当の10代の84.4%が言葉の乱れは「若者言葉」にあるとした。

 国語としては乱れていると自覚しながらも楽しみ、仲間内とそれ以外とで使い分けている実態が浮かぶ。若者言葉の新陳代謝が激しいことを考えれば、ことさら「正しくない」と目くじらをたてることはないかもしれない。

 新しい表現に関する問いでは、パワハラなどの「~ハラ」や婚活などの「~活」は「自分も使うし、他人がいうのも気にならない」という人が5割を超えた。

 言葉は世相を反映しつつ、人とともに生きているのである。

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