【主張】コロナと自殺増 きめ細かな相談と支援を

 自殺者の数が増加する兆しをみせている。かけがえのない命を守るため警戒を強めるべきだ。

 警察庁のまとめで今年8月の自殺者数は速報値で1849人に上る。前年同月比で約15%、246人の増加である。

 自殺には、失業や倒産、多重債務、過労や健康問題などの要因が複雑に絡み合っている。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、人々に精神的なストレスも根強い。

 また一般的に景気が悪いときに自殺は増えるとされる。コロナ禍で苦しい経済状況が続き、さらなる自殺者増も心配される。官民挙げ、きめ細かな対策に心を配るときである。

 政府はまずは雇用の維持に全力を挙げ、さらに精神的な支援に取り組んでもらいたい。

 特に女性の自殺が前年8月と比べ約4割の増加で、顕著なのが気がかりである。

 女性の自殺の増加は、雇用不安が最初に表面化した可能性も否定できない。非正規雇用が多く、景気悪化の中で、職を失う現実がある。単身や母子世帯など生活基盤が脆弱(ぜいじゃく)な世帯には、さらなる目配りが必要である。

 隣国の韓国でも、女性の自殺の増加など同様の傾向があるという。背景などの詳しい分析とともに、情報交換し、必要な手立てに知恵を絞りたい。

 今月中旬の閣議で当時の加藤勝信厚生労働相は「新型コロナウイルス感染症の影響などにより、自殺リスクが高まることもあり得る」とし、対策への協力を依頼した。縦割りを排した命を守る連携が重要である。

 住まいのある都道府県や市区町村には、生活困窮に関する相談窓口が設けられている。生活が立ち行かない人は、相談をためらってはいけない。

 厚労省はホームページに、「生きづらさを感じている方々へ」として、「こころの健康相談」や「自殺対策のSNS相談」などを紹介している。

 新型コロナの感染拡大が続き、すでに半年以上、多くの人が他人と接することを避け、家に引きこもるように暮らしている。

 こんなときだからこそ、友人や知人、隣人同士で声をかけあったり、いたわったりする心の余裕を持ちたい。それが、相手の思い詰めた心に風を吹き込むこともあるだろう。

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