【外信コラム】「板門店」で手を振る

 韓国の新しい李仁栄(イ・イニョン)統一相が今週、南北軍事境界線の板門店を視察した。その時の様子を伝える韓国メディアに接し「オッ?」となった。彼は境界線の南側から北朝鮮側をながめ手を振っているのだ。

 視線が上を向いているので、北側の「板門閣」の玄関かベランダにいる北側の要員に対し手を振って“あいさつ”をしたものと思われる。この日、北と会談があったわけではない。統一相就任を機にぶらり(?)訪れたようだが、観光スポットでもある板門店の観光規則では北側に向かって手を振ることは厳禁されていたはず。韓国当局の最高責任者が手を振っているのだから今後、観光客も手を振っていいのかもしれない。

 李仁栄氏は1980年代の親・北朝鮮系の学生運動組織「全国大学生代表者協議会(全大協)」の初代議長出身で、親北・左翼的な文在寅政権を象徴する人物の一人として知られる。

 ところで彼と同世代で1989年、全大協代表としてヨーロッパ経由で北に“密航”し話題になった女子学生に林秀卿(イム・スギョン)氏がいる。彼女は板門店経由で戻ってきたのだが、その際、北に向かって名残惜しそうに手を振っている。今回、それを思い出した。彼も彼女も当時は韓国で“民主化闘士”といわれたが、北朝鮮の民主化については昔も今も知らん顔だ。(黒田勝弘「ソウルからヨボセヨ」)

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