【主張】首相の安保談話 「敵基地攻撃力」決定急げ

 近く退陣する安倍晋三首相が、安保政策に関する談話を発表した。

 次期政権になっても政府と与党が、ミサイル阻止の新たな対応策の検討を続け、年内に結論を得る方針を示した。

 ミサイル阻止の能力とは、敵ミサイルを迎撃する「ミサイル防衛」に加え、敵基地攻撃能力を包含する概念だ。

 閣議決定されてはいないが、首相談話は国家安全保障会議(NSC)の協議を踏まえている。次期政権と与党は敵基地攻撃能力の保有を決断し、12月に編成する令和3年度予算案の内容に反映させてもらいたい。それが、国民の安全を高める抑止力となる。

 首相談話は、「迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか」と指摘した。

 政府は長年、ミサイル防衛網の整備を進めてきた。イージス艦や地対空誘導弾パトリオット(PAC3)、6月に配備計画を断念した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」である。

 だが、ミサイル防衛網だけでは守り切れないのは明らかだ。北朝鮮や中国などは日米のミサイル防衛網を突破しようとミサイルの能力向上や増強に余念がない。

 ミサイル防衛網を必要としつつも、その限界を首相が認めたのは重大な判断だ。政府に実効性ある防衛体制構築の義務が生じた。イージス・アショア代替策と敵基地攻撃能力保有の双方が必要だ。

 問題は、談話にみられる安倍首相の危機感を次期政権と与党が共有できるかという点にある。

 侵略国の領域にある固定・移動式の発射台、航空機、艦船、潜水艦といったミサイルの発射プラットホームや軍用飛行場、軍港などをたたく能力の保有は、日本へのミサイル着弾防止につながる。

 座して死を待つわけにはいかない以上、敵基地攻撃能力を行使することは自衛の範囲に含まれ、専守防衛の原則にも反しない。

 自民党は能力保有を求める提言を安倍首相に提出したが、公明党は保有に難色を示している。政府・与党内の調整がつかず、安倍政権の間に方針を示せなかった。

 国民の命を守るよりも侵略者の安全に配慮するような保有反対論はおかしい。次期政権と与党は首相談話を尊重し、日本の国と国民を守り抜くという当たり前の姿勢を貫くべきだ。

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