【主張】大阪都構想の投票 やる以上は説明を尽くせ

 大阪都構想の設計図である協定書が、大阪市議会で大阪維新の会と公明党の賛成多数で可決、承認された。すでに府議会でも可決されており、大阪市を廃止し、特別区に再編することへの賛否を問う住民投票は、11月1日にも行われる。

 紆余(うよ)曲折を経た住民投票だが、やる以上は意義あるものとしてもらいたい。重要なのは市民に説明を尽くすことである。現状で十分に理解されているとはいえない。

 大阪も新型コロナウイルス禍の渦中にある。今は都構想どころではないと感じている市民も多いだろう。4、5月に市民から意見を募集したところ「非常事態に特別区制度を考えることはできない」といった声も寄せられた。それでも強行するのだから、実施の意義も含めた分かりやすい判断材料の提供が不可欠だ。

 都構想は、大阪市を廃止して4つの特別区に再編する。府は都市計画などの広域行政を、特別区は身近な住民サービスを担う。都構想を主導してきた大阪維新は、府と市の二重行政の解消を訴える。一方で住民サービスが低下することへの危惧や、特別区の財政運営を不安視する声もある。

 コロナ禍にあっての周知には工夫が欠かせない。オンラインによる説明会も開かれるが、機器の扱いに不慣れな人を置いてきぼりにしないよう、万全の措置を講じてほしい。

 行政の仕組みを変えることによって恩恵を受けるのは、あくまでも市民でなければならない。都構想の長所、短所もよく分からないままで投票日を迎えるようなことになれば、将来に禍根を残す。

 大阪市の松井一郎市長はコロナの感染状況が深刻化した場合、10月12日に想定される告示日までに延期などを検討するとしている。状況によっては、延期の判断をためらってはなるまい。

 都構想は、大阪維新の会前代表の橋下徹元大阪市長が掲げた。平成27年に住民投票が行われ、約1万票差で反対が上回った。対立者を厳しく批判し、「けんか民主主義」とも評された橋下政治への信任投票の意味合いもあった。

 大阪の将来を決める住民投票である。推進、反対派の動きも加速しようが、丁寧な説明によって市民の冷静な判断を仰ぐべきだ。住民投票を政治ショーの場としてはならない。

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