【主張】五輪と次期首相 開催実現へ旗振り役担え

 安倍晋三首相の辞任表明により、来夏の東京五輪・パラリンピック開催に向けた政府の熱量が下がることがあってはならない。

 新型コロナウイルスと共存しながらの開催準備は、今後の社会経済活動を左右する。

 次の首相には、旗振り役として大会を成功に導く覚悟を示してもらいたい。

 東京五輪への現状の視界は、決して悪くない。

 新型コロナによる感染症は世界各地で広がり続けているが、スポーツ界では今のところ、観客数の制限を除けば試合開催に大きな支障は出ていない。

 テニスは四大大会の一つである全米オープンが開幕し、9月下旬には全仏オープンも控える。米プロバスケットボールNBAはポストシーズンのさなかだ。

 200を超える国・地域から選手や関係者が集う五輪では、より厳格な感染症対策が求められる。政府は近く、東京都、大会組織委員会などを交えて「五輪コロナ会議」を設置する。出入国条件の緩和を含めた水際対策、検査体制の拡充、医療体制の構築には政府の主導が欠かせない。

 数千億円ともいわれる追加費用については、国際オリンピック委員会(IOC)が一部を負担する意向を示しているが、都と国も相当額の負担が避けられない。都民や国民への理解を得るのも次期首相の大事な役目だろう。

 東京が開催権を勝ち取った7年前のIOC総会では、安倍首相自ら最終プレゼンテーションに立ち「スポーツの力で世界をよりよい場所にする」と誓った。リオデジャネイロ五輪では閉会式のアトラクションに出演し、東京五輪のPR役を買って出た。

 それにもかかわらず、辞任表明会見では、東京五輪についての言及がほとんどなかった。

 招致や開催準備の過程を熟知する安倍首相には、五輪開催の意義や後継の政権に対する熱量継承の期待について、もっと語ってほしかった。

 2年延期の選択肢もある中で、安倍首相は来夏の開催に自信を示し、IOCと合意した。その経緯を忘れてはならない。体調の回復が前提となるが、安倍首相には東京五輪で何らかの重責を担ってもらいたい。

 これで「お役御免」では、あまりに寂しすぎるではないか。

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