【主張】核のごみと寿都町 文献調査への応募実現を

 原子力発電で生じた高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向けた文献調査への応募を検討している北海道寿都町で26日、町議と地元産業団体を交えた意見交換会が開かれた。

 結果は賛成と反対意見が相半ばし、片岡春雄町長は当初、目指していた9月中の判断を10月以降に延期する方針を表明した。

 町内での議論を重ね、安全性や必要性などに関する町民の理解を深めた上で、選定の第1段階に当たる文献調査への応募を目指してもらいたい。

 片岡町長が文献調査への応募に前向きであることが判明した途端、鈴木直道北海道知事や周辺3町村などから一斉に反対の声が上がったのは残念だ。

 核のごみは、国内での半世紀にわたる原子力発電で既に大量に発生している。地下の300メートル以深に、円柱形のガラス固化体(直径40センチ、高さ130センチ)に加工されて埋設されるが、総量は約2万6千本分に達しているのだ。

 いつまでも最終処分場の当てなしで済ませられる問題でないことは明らかだ。国内のどこかに受け入れてもらわなければならないこともはっきりしている。

 寿都町による文献調査への応募検討は、こうした現状を広く国民に知ってもらう上でも大きな意味がある。同町は風力発電施設を最初に設置した自治体であり、エネルギー問題の先進地区であることも認識しておきたい。

 鈴木知事らからは北海道には核のごみの持ち込みを拒否する「核抜き条例」があることを理由に、寿都町を批判する声が発せられているが、それはおかしい。

 北海道には泊原発が立地しており、道産の核のごみを抱えているではないか。この事実から目をそらしてもらっては困る。核抜き条例が極めて身勝手な側面を持つ条例であることを認識した上で発言してもらいたい。

 高レベル放射性廃棄物を含むガラス固化体は、地底で数万年以上の長期間、隔離されるが、その放射能は50年間で約80%が、千年間で99.9%以上が消えることも、もっと知られてよいことだ。

 寿都町以外にも文献調査への応募を検討している市町村があるはずだ。続いて名乗りを上げれば、応募への特異感も薄らごう。偏見と誤解の渦中に寿都町と最終処分問題を放置してはならない。

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