【主張】新たなコロナ対策 実効性の確保こそ大切だ

 政府が、今冬のインフルエンザとの同時流行などに備えた、新型コロナウイルス感染症の新たな対策をまとめた。

 無症状者や軽症者にも入院を勧告する場合がある感染症法の運用を見直し、医療現場の逼迫(ひっぱく)化を防ぐ。医療機関は重症者の入院治療に努め、無症状者と軽症者には宿泊施設や自宅での療養を徹底する。

 発熱など症状が似ているインフルとの同時検査が必要になるため、新型コロナの検査能力を1日20万件程度へ拡充する。感染拡大地域の医療機関や高齢者施設の全職員に一斉・定期検査を行う。

 新型コロナ流行の「第2波」は7月末がピークだったが、新規感染者はまだ高い水準にある。一般的に呼吸器ウイルスが活動的になる秋や冬への警戒は怠れない。

 安倍晋三首相が28日の記者会見で、同時流行に備え、「重症化リスクの高い人々に重点を置いた対策へ今から転換していく必要がある」と強調したのは妥当だ。安倍首相は次期首相選出まで職務に当たる。体調の問題はあろうが、コロナ対策に空白を生まないよう目を配ってもらいたい。

 指摘しておきたいのは、政府や自治体のコロナに関する行政能力が、国民の期待する水準に達してこなかったという点である。

 今回の対策にはコロナ治療を担っている医療機関への経営支援が盛り込まれた。コロナ禍が始まって何カ月もたっているのに、経営困難を解消しきれなかった厚生労働省には憤りを覚える。

 流行初期に海外からの入国規制に手間取り、PCR検査は進まなかった。国民への定額給付金や休業した事業者への支援金が届くまで相当な時間がかかった。

 無症状者や軽症者を入院対象から外すのは妥当だが、家族などへ感染を広げる恐れはある。自宅療養は1人暮らしに限り、宿泊療養を原則にしたい。だが、都道府県知事には、確実に療養させる権限はなく、十分な室数や医師、看護師など宿泊施設のスタッフを行政が確保できるか不安が残る。

 経済活動再開をにらみ、国際的な人の往来も広げていくことになった。まず、在留資格を持つ外国人約260万人の再入国を9月から全面解禁する。空港での入国時の検査能力を拡充するが、ウイルスの侵入を許してはならない。

 対策に実効性が伴うよう、あらゆる手を尽くしてほしい。

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