【主張】トランプ氏指名 孤立主義とまず決別せよ

 11月の米国大統領選に向け、共和党大会で現職のトランプ氏が大統領候補に正式指名された。ホワイトハウスでの受諾演説で「次の4年間で輝かしい米国の未来をつくる」と再選への自信をアピールした。

 民主党の候補に指名されたバイデン前副大統領に対する激しい非難をちりばめながら、米国の偉大さを連呼する自国第一主義と楽観が目立つ演説となった。

 だが、新型コロナウイルス禍と経済不況など、米国や世界を取り巻く環境は極めて厳しい。

 約2カ月のバイデン氏との一騎打ちは、米国内に人種差別問題を抱え、複数の危機と同時進行で繰り広げられる。トランプ氏と蜜月関係を築いた安倍晋三首相が辞意表明し、今後の日米関係を構築する上でも目が離せない。

 トランプ氏は「米国は暗闇に覆われた土地ではない。世界全体を導くたいまつだ」と訴えた。米国が主導してきた自由と民主主義の価値に基づく世界秩序は、中国やロシアによる専制主義という「暗闇」に覆われつつある。

 あと4年、トランプ氏が自由で開かれた世界の「たいまつ」を掲げるつもりなら、孤立主義との決別を表明してもらいたい。

 その中国にトランプ氏は「米史上、最も大胆で厳しい攻撃行動を取った」と自負し、「対中依存を完全に終わらせる」と述べた。だが、軍事やハイテクなどあらゆる局面で不可避となった対中対決は「米国第一」では勝てない。

 同じ価値を共有する同盟・友好国とのネットワークを、インド太平洋で形成することが焦眉の急である。その最重要パートナーである日本の次期首相との信頼関係を含めた重層的な連携が必要だ。

 トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国などとの間で同盟軽視の姿勢を改めず、きしみを生んだ。中国はその隙に付け入り、包囲網を切り崩す外交に躍起だ。対照的にバイデン氏は指名受諾演説で同盟国との協力強化を唱えた。一方で中国を名指しで批判することは避け対中問題で毅然(きぜん)とした態度を貫けるのか、不安を残している。

 トランプ氏は「バイデン氏が当選すれば中国に支配される」と攻撃したが、自らの同盟軽視姿勢を改めて、中国の覇権追求をともに阻止する覚悟を、行動で示すべきである。

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