【主張】コロナとインフル 同時流行に最大限警戒を

 新型コロナウイルスの感染拡大は「ピークは越えた」との見方があるものの、収束が見通せない状況が続いている。

 この秋から冬にかけては新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念される。厚生労働省の専門部会は高齢者や子供から優先的にインフルエンザワクチン接種を受けてもらう案を了承した。

 新型コロナ感染者とインフルエンザ患者を、初期症状から判別するのは難しい。発熱などの症状がある患者に対しては、新型コロナとインフルエンザの両方を想定した診療、検査が必要となる。

 厚労省は、例年よりもインフルエンザのワクチン接種希望者が増えると見込み、医療機関の混乱を避けるために優先接種の対象を決める必要があると判断した。

 高齢者や医療従事者、妊婦や子供のワクチン接種を優先すること自体は妥当である。

 しかし問題の本質は、ワクチン接種の優先順位ではない。より大切なのは、優先接種の対象でない人を含め、多くの人が接種を受けられるよう十分な供給量を確保し、ワクチン接種の万全の態勢を築くことである。

 日本感染症学会は「今冬は新型コロナとインフルエンザの同時流行を最大限に警戒すべきだ」としたうえで、医療関係者、高齢者、ハイリスク群の患者も含め「インフルエンザワクチン接種を強く推奨する」提言を出している。

 厚労省によると、今季のインフルエンザワクチン供給量は6300万人分が見込まれる。昨年度からは約7%増で、平成27年以降で最大となるという。

 インフルエンザの流行は例年、数百万から1千万人もの規模になる。すべての患者に「新型コロナ対応」を行う医療機関の負担は、とてつもなく大きくなる。

 新型コロナに対する初期の対応で、厚労省は医療機関の混乱を避けることに過度にとらわれて、PCR検査の拡充を結果的に遅らせた「前歴」がある。インフルとの同時流行への備えで、その轍(てつ)を踏んではならない。

 政府は例年の供給量をベースとするのではなく、全国民を対象とする規模でインフルエンザワクチンの供給と接種態勢の構築を目指すべきである。

 新型コロナのワクチンが開発された後にも、その態勢と経験は生かされるはずだ。

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