韓国、バルブ課税を撤廃 敗訴糊塗する文政権の不誠実 

 【風を読む】

 釈然としない結末である。

 韓国が日本製産業用バルブにかけていた反ダンピング(不当廉売)課税を19日に撤廃した。世界貿易機関(WTO)に協定違反と認定されて是正勧告を受けた不当な課税で、撤廃は当然である。払う必要のない税を課されてきた日本企業も安堵(あんど)したことだろう。

 納得できないのは文在寅政権の不誠実なやり口だ。WTOが求めた撤廃期限は5月30日だった。韓国がこれを無視したことは報道の通りである。2カ月半以上も撤廃が遅れたのは、5年前にこの措置を導入した際に設けた適用期間が8月18日までだったからだ。

 つまり、是正勧告を受けた撤廃ではなく、課税期間が満了し、韓国企業の延長申請もないのでやめたという理屈だ。よほどWTOで日本に負けたことを認めたくないのだろう。現実を糊塗(こと)する文政権の姑息(こそく)さにあきれる。

 最終的に撤廃されたのだから、多少の遅れは大目に見るというのでは、お人よしにすぎる。反日世論に迎合するためには国家間の取り決めやルールをないがしろにする。これは、慰安婦問題や「徴用工」訴訟にも当てはまる文政権の歪(ゆが)んだ対日姿勢である。

 日本は勧告の期限を無視した韓国に関税引き上げなどの対抗措置を取ることができた。現実的には、そのための手続きに通常は年単位の時間を要することに加え、そもそも韓国が8月に撤廃すれば対抗措置も取れなくなる。だからカードを切ることはなかった。

 それでも勧告の期限を迎えた5月末段階で、日本政府が記者会見などを行って韓国の非を指弾し、日本には対抗措置の権利があると国内外に訴えることくらいはできたはずだ。実際にはそんな場面はなかったが、韓国の身勝手な振る舞いを阻むには、最低でもそれくらいの行動が必要である。

 今、韓国産業通商資源省の高官、兪明希氏がWTOの次期事務局長選に出馬している。兪氏は日本政府による対韓輸出管理の厳格化をめぐり、日本をWTOに提訴した件にも関わった高官で、韓国の通商外交に責任を負うべき立場にある。その韓国が今回、WTO勧告を適切に履行しなかったのである。これでは、WTO体制を守るべきトップに自国人材を出したいと言われても、悪い冗談にしか聞こえない。(論説副委員長・長谷川秀行)

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