【主張】地域活動の縮小 福祉の担い手に支援急げ

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、子供食堂や子育てサロン、高齢者の介護予防教室など、NPO法人や住民のボランティアが担う地域活動が縮小している。

 密閉や密集、密接の懸念があるためで、高齢者が集まる場では特に警戒感が強い。企業の支援が止まり、運営が立ち行かなくなったところもある。

 活動縮小はやむを得ぬ判断なのだろう。ただ、こうした活動を通じて生活を支えられている人も多い。活動を維持できるよう社会全体で協力すべきである。

 なかでも国や地方自治体の役割は大きい。政府は近年、子育て支援や介護保険制度を円滑に運用するため地域活動とのつながりを強めてきた。公的制度の一翼を担う重要性を踏まえれば必要な支援を躊躇(ちゅうちょ)なく行うのは当然である。

 それにはまず、地域の感染状況や、活動継続に必要な感染症対策などの情報をきめ細かく提供しなくてはならない。子供食堂の中には食堂を開く代わりに、弁当や食材、アルコール消毒液の配布を始めたところもある。こうした知恵や工夫を多くの地域活動で共有できるようにしたい。

 運営を資金面で支援することも重要だ。国は、子供食堂などが訪問や配食を通して子供の見守りをする場合、自治体経由で人件費や事業費を補助するため補正予算に約30億円を計上した。酷暑と感染症で大人が外出を控え、見守り機能が低下しているだけに、効果的な取り組みである。

 自治体は地域活動との連携で先頭に立つべきだ。6月成立の改正社会福祉法には、自治体の福祉実務の主要な担い手である社会福祉法人と、自治体との接点が少ないNPO法人が、共同で活動できる組織を新設するための規定などが盛り込まれている。

 改正法は来年にも施行されるが、これを先取りして自治体と各法人の関係強化を図りたい。

 福祉の現場では、要介護の高齢者宅に壮年で引きこもる子供が同居する「8050問題」や、介護と育児を両立させなくてはならない「ダブルケア」など、役所の部署ごとに異なる縦割り仕事では解決が難しい課題が増えている。

 地域にさまざまな自助グループがあれば、その協力で重層的な体制を築ける。これを実現するためにも早急に地域活動の縮小に歯止めをかけるべきである。

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