【主張】習氏訪韓の合意 文氏は離間の計に乗るな

 中国外交担当トップの楊潔●(よう・けつち)共産党政治局員が韓国・釜山で徐薫(ソ・フン)韓国大統領府国家安保室長と会談し、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き次第、習近平国家主席の訪韓を実現させることで一致した。

 会談で楊氏は「韓国は習主席が優先的に訪問する国だ」と韓国を持ち上げることを忘れなかった。

 「冷戦期の米ソ以上」(ポンペオ米国務長官)に米中両国が対立を深める中での習氏の早期訪韓合意は、韓国の同盟国である米国の決定的な不信を買う行為だ。

 中国は新型コロナウイルス感染症発生当初の情報隠蔽(いんぺい)疑惑や、弾圧のための香港国家安全維持法の施行、南シナ海への強引な海洋進出などで国際社会から批判を浴びている。中国は自ら招いた対中包囲網の形成を阻もうと、これらの問題で中国を批判することの少ない韓国に接近した。米韓同盟にくさびを打ち込んだことになる。

 核・ミサイルや人権の問題そっちのけで南北融和を優先する文在寅政権は、北朝鮮の後ろ盾の中国への傾斜をためらわない。韓国の対中貿易依存度は高い。中国はそこを心得ており、楊氏は「朝鮮半島問題の政治的解決プロセスに建設的な役割を果たしたい」と協力を申し出た。

 だが、文大統領は中国の甘い言葉に乗ってはいけない。思い出すべき一件がある。

 2017年12月、文氏は国賓として中国を4日間訪問したが、習氏および中国指導部との会食は2度だけで、当初調整された李克強首相との会食は設定されなかった。韓国人カメラマンが中国人警備員に暴行を受けて負傷する事件も起きるなど冷遇された。

 文氏はこの訪中前に「韓米日関係を軍事同盟にしない、米国主導のミサイル防衛システムに入らない、(米軍の)高高度防衛ミサイルシステム(THAAD)の追加配備をしない」という「三不政策」を約束していた。中国は冷遇することで「三不」の実行を強く迫った。そこには礼節を伴う対等な関係は存在しない。

 韓国の親北・対中傾斜は米国との関係を弱め、北東アジアの安定を損なうだけだ。韓国が今の自由と繁栄を謳歌(おうか)したいなら、米韓同盟や日本との連携重視にかじを切ってもらいたい。日本も韓国の動向に流されず、習氏の国賓来日をはっきりと白紙に戻すべきだ。

●=簾の广を厂に、兼を虎に

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