【主張】秋元議員の逮捕 保釈は厳格な判断必要だ

 放置すれば、公正な公判が大いに妨げられる可能性があった。改正組織犯罪処罰法に新設された「証人等買収」の規定や保釈のあり方について厳格な運用を求めたい。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件の収賄罪で起訴されている衆院議員の秋元司被告が保釈中、贈賄側に虚偽の証言をするよう依頼し、現金供与を申し込んだとして、組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。

 特捜部は先に、汚職事件の秋元容疑者の公判で同容疑者の有利になるよう贈賄側に虚偽証言を持ち掛けたとして支援者ら3人を逮捕していた。秋元容疑者は昨年12月に汚職事件で逮捕、起訴された後、今年2月に保釈された。同容疑者には保釈後に支援者らと面会し、虚偽証言の依頼や現金提供を共謀した疑いがある。

 証人等買収罪は平成29年、組織犯罪処罰法が改正された際に「テロ等準備罪」とともに導入された。司法妨害を防ぐことを目的とし、虚偽証言や証拠隠滅の報酬として金銭を提供する行為を処罰対象とする。相手が受領しなくても提供を申し込めば対象となる。今回はその最初の適用であり、典型的な事例である。

 また保釈が認められるのは、逃亡や証拠隠滅の恐れが高くない場合に限られる。だが現実に、秋元容疑者は保釈中に虚偽証言を求めたことが疑われている。

 特別背任などの罪で起訴された日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告が保釈中に海外へ逃亡したことも記憶に新しい。

 裁判所は近年、保釈を積極的に認める傾向を強めている。全国の地裁、簡裁が保釈を許可する割合は、20年の14・4%から29年には31・3%に倍増した。保釈中の被告が新たな事件に関与する事例も相次いでいる。

 特に、保釈中に関係者に強い影響力を行使する可能性が疑われる政治家や企業経営者、反社会的勢力の幹部らには保釈要件を厳格化すべきである。これだけ悪(あ)しき前例が続いているのだから、目を覚まさなくてはいけない。

 自民党にとっては、公選法違反(買収)の罪で起訴された河井克行前法相夫妻に続く事件だ。「離党しているから」ではすまされまい。毅然(きぜん)とした対応ができなければ支持者からも見放される。

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