【主張】ベラルーシ大統領 不正選挙を認め退陣せよ

 露骨な不正選挙で権力にしがみつこうとした独裁者に、国民は明白な退陣要求を突き付けた。ロシアの隣国ベラルーシで9日に行われた大統領選をめぐり、大規模な抗議行動が続いている。

 1994年から大統領の座にあるルカシェンコ氏は、もはや自らの正統性が失われたことを直視すべきだ。弾圧をやめて速やかに辞任し、民主的な再選挙に道を開かねばならない。

 中央選管はルカシェンコ氏が約80%を得票して6選を決めたと発表した。反体制派の女性候補、チハノフスカヤ氏の陣営は集計結果の大がかりな改竄(かいざん)があったとして、これを認めていない。首都ミンスクなど各地では選挙直後からルカシェンコ氏の辞任を求める抗議行動が起きた。

 治安当局は当初、目に余る暴力でデモを排除し、3日間で6千人を拘束した。多数が負傷し、少なくとも2人の死者も出た。その後も抗議は収束せず、16日のミンスクでは約20万人が集会で大統領退陣を求めた。国営大企業ではストライキの動きが出ている。

 ルカシェンコ政権は今回の大統領選で、対抗馬として名乗りを上げた有力者3人を選挙から排除した。しかし、拘束された夫の代理として出馬したチハノフスカヤ氏に広範な支持が集まった。

 非政府系団体による大統領選の出口調査では8割がチハノフスカヤ氏に投票したと答えた。多くの開票所について、チハノフスカヤ氏が圧勝していたことを示す文書も次々と明らかになった。

 米国や欧州連合(EU)は不正選挙とデモ隊への暴力を非難しており、EUはベラルーシへの追加制裁発動も決めた。民主主義を信条とする日本や欧米は、ルカシェンコ政権に最大限の圧力をかけるべきである。

 それと同時に、ベラルーシを自国の勢力圏と考えるロシアの介入を阻止することが重要だ。プーチン露大統領は、ルカシェンコ政権の崩壊がベラルーシの欧米接近につながることを警戒し、必要なら軍事支援も行うとルカシェンコ氏に伝えている。

 ロシアは2008年、親欧米国のジョージア(グルジア)に侵攻したが、欧米は手ぬるい対応に終始した。これが14年、ロシアのウクライナへの軍事介入とクリミア併合を許すことにもなった。同じ轍(てつ)を踏んではならない。

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