ソウルからヨボセヨ 日本統治時代の呼称 韓国と台湾 黒田勝弘

 韓国の8月15日は日本による統治から解放された日で「光復節」といわれているが、日本統治時代(1910~45年)のことを以前は「日帝(日本帝国主義)時代」といっていた。ところが近年は「日帝強占期」に変った。「強占」とは「強制的な占拠」という意味で実にまがまがしい。

 韓国の学者に聞くと、日本統治の根拠として双方が署名し国際的にも承認されていた韓国併合条約について、20年ほど前から改めてその不法、不当、無効を強調するため、そうなったという。しかし「日帝時代」というのも実は1960~70年代に、日本の左翼学者の影響で次第にそうなったのだという。

 それ以前は「日政時代」とか「倭政時代」というのが一般的で、確かに筆者が韓国に留学した70年代後半でもそういう表現をよく耳にした。知り合いのある保守派の学者は今でも断固として「日政時代」といい続けているが、理由はそれが学問的にみてより客観的だからだという。

 では同じく日本統治時代を経験した台湾はどうか。台湾の知り合いに聞くと「日治時代」だという。北京の影響で一時、「日據(拠)時代」なる表現が登場したことがあるが、主流にならなかったとか。「日治時代」とは、韓国のように余計な価値観が入っていない客観的な表現である。

(ソウル 黒田勝弘)

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