【主張】国民民主分裂へ これが野党の再編なのか

 立法会(議会)選挙が突如延期されたり、不当な治安立法によって民主活動家らが弾圧されたりして民主主義が瀕死(ひんし)の状態にある香港と比べ、なんと恵まれた状況のもとでの「騒動」だろう。

 これが野党の再編なのか。つくづくそう思わざるを得ない。

 立憲民主党と国民民主党の合流話が、基本政策の一致よりも選挙目当ての性格が濃いことが明らかになったことである。

 国民の玉木雄一郎代表が記者会見し、役員会で立民との合流の賛否の意見集約ができなかったとして、合流派と非合流派で分党する方針を表明した。19日の両院議員総会に諮る。

 立民と国民の幹事長らは新党の綱領と規約の案で合意した。だが、玉木氏は、合流新党に自身は参加しないと表明し、「基本政策の一致を確認しなければ合流に加わることはできないという声も少なくなかった」と語った。

 分党が了承されれば国民は解党し合流派は立民と新党をつくる。玉木氏ら非合流派は法的には新党の「国民民主党」を結成する。

 国民の合流派に加え、無所属の野田佳彦元首相らも立民に合流し、百数十人規模の野党第一党ができる可能性がある。

 野党合流は、巨大な与党に対抗する「大きなかたまり」をつくるねらいがあるが、有権者からは旧民主党やその後継の旧民進党が、左派色を強めて復活するとみられるのではないか。国の内外が多端な折、政権を担う力を養えるとは考えにくい。

 党の分裂を招いた点で玉木氏の指導力に疑問符がつくが、基本政策の一致を重視することは政党政治家として筋が通っている。

 玉木氏は基本政策をすり合わせようと立民の枝野幸男代表に党首会談を呼びかけたが、立民側が応じなかったのは疑問だ。新党の綱領案には「熟議」がうたわれているが羊頭狗肉(くにく)ではないか。

 一致できなかった基本政策の最たる点は、消費税問題への姿勢だ。玉木氏は新型コロナウイルス禍の下で経済の復調には消費税減税が必要だと唱えてきた。立民は否定的だった。これでは同居することはかなうまい。

 玉木氏ら非合流派には、今までの政策提案型の行動を貫き、憲法改正や原子力発電、安全保障などでも現実的な政策を掲げる勢力をつくってもらいたい。

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