【主張】沖ノ鳥島 日本の最南端を守り抜け

 中国が日本の島や海を脅かしているのは、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をはじめとする南西諸島の方面だけではない。

 日本最南端の沖ノ鳥島(東京都小笠原村)周辺の海でも、中国は海洋調査船を使って、不法な現状変更の試みを執拗(しつよう)に続けている。中国は直ちにやめるべきだ。

 中国の海洋調査船が7月9~18日、沖ノ鳥島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で、日本の許可を得ずに海洋調査を行った。海上保安庁の巡視船が中止を命じたが無視した。連続10日間の居座りは平成23年以降で最長である。

 調査船は遠隔操作型無人潜水機(ROV)を海中に降ろしていた。海底から資源サンプルを採取した可能性がある。同じ調査船は同月24~27日もEEZ内に戻り、航行、漂泊を繰り返した。海洋調査を続けたとみられる。

 政府は外交ルートで抗議したが、中国側は沖ノ鳥島は「島」ではなく、EEZを設けられない「岩」だとして応じなかった。

 沖ノ鳥島は、高潮(満潮)時には2つの小島が海面上にわずかに頭を出すだけだが、国連海洋法条約第121条1項にいう、自然に形成された陸地で高潮時にも水面上にあることを満たす、れっきとした島だ。中国の主張は認められない。

 日本が天然資源への主権的権利や海洋科学調査などの管轄権を持つEEZで、中国船が勝手に調査することは許されない。この海底にはメタンハイドレートやレアアース(希土類)が眠っているとされる。資源サンプルの採取は、日本の資源を盗んだことになる。

 さらに見過ごせないのは、中国調査船が、軍事目的のために海底の地形や海流、海水温などのデータを集めているとみられる点である。西太平洋上の孤島であっても沖ノ鳥島は軍事的要衝だ。沖縄と米領グアムを結ぶ航路のほぼ中間に位置しているためだ。

 中国潜水艦が沖ノ鳥島周辺の海域に潜(ひそ)めば、南西諸島や台湾海峡をめぐる有事の際、来援する米海軍の艦隊や輸送船団、日本本土への民間のタンカーや貨物船を攻撃できる。大変な脅威となる。

 安全保障と経済権益の双方を守るため、中国調査船の横行を防がねばならない。政府は、調査船を拿捕(だほ)する権限を海保に与える法整備を急ぐべきだ。海保巡視船の増強も欠かせない。

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