【主張】原発の寿命 規制委も見直しに参加を

 原発の長期運転停止期間は、原発の法定寿命から除外すべきである。

 国内33基の原発のうち再稼働したものは9基にすぎない。残り24基は原子力規制委員会による安全審査待ちなどで10年前後の長期間、運転停止状態に置かれている。

 福島事故後、原発の運転期間は40年と規定された。規制委の審査によって延長が認められる場合でもチャンスは1回限りで、しかも20年以内の延長なのだ。

 停止していれば原発の劣化は基本的に進まない。だが、現行の制度では運転中と同様に40年に向けて時計の針が動いていく。これでは30年以下の運転でも40年の上限に達してしまうのだ。

 巨額の追加安全対策費を投入しつつ、運転期間を短縮されれば、経営も電力安定供給も破綻を来すことになる。電力会社が見直しを望むのも当然だろう。

 この要望に対する規制委の回答が7月末に示された。民間の原子力エネルギー協議会(ATENA)と原子力規制庁の実務レベルの議論を踏まえた見解だ。

 回答では、長期停止期間中に重大な劣化事象の進展は認められなかったとしながらも「運転期間に長期停止期間を含めるべきか否かについて、科学的・技術的に一意の結論を得ることは困難」などとする見解が述べられている。

 また、原発の運転期間は「原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、規制委が意見を述べるべき事柄ではない」としてこの問題から距離を置く姿勢に徹しているのは残念だ。制度の見直しを担う政府・与党は当然のこととして、規制委も相応の役割を果たすべきである。

 規制委設置法第1条は「わが国の安全保障に資することを目的とする」との文言で締めくくられている基本を忘れたのだろうか。

 エネルギー資源に乏しい日本にとって原子力発電は二酸化炭素排出削減に資する重要な電源だ。

 アラブ首長国連邦では7月末にバラカ原発1号機が初起動した。産油国においてすら原子力を活用する時代である。

 同原発は韓国製である。長期の運転停止が続く中、司法リスクなども加わって日本の原子力発電技術は、世界の先端から急速に落後しつつある。次期エネルギー基本計画での原発の新増設を含めた明確な位置づけが不可欠だ。

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