【主張】人口50万人減 雇用悪化に危機感を持て

 人口の減少が止まらない。今年1月1日時点の日本の人口は前年よりも50万人以上減った。11年連続の減少である。安倍晋三政権が「国難」と位置付ける少子化は依然として深刻である。

 その背景の一つには、人口の多い団塊ジュニア世代の出生率アップに効果的な手を打てなかったことがある。バブル崩壊後の就職氷河期に就職時期を迎えたこの世代には、収入や生活への不安から結婚や出産の見送りを余儀なくされた人が一定数いたはずだ。

 雇用不安は人口減少のペースを速め、ひいては経済社会の活力を奪う。それがかつての就職氷河期から得られた教訓だろう。

 今、新型コロナウイルス禍により、堅調だった雇用が悪化している。子供を欲しいと思っても産めない社会に未来はない。若い男女が安心して働き、家庭を持つ喜びを感じられるよう、官民一体で雇用維持に全力を尽くすべきだ。

 団塊ジュニア世代は、昭和40年代後半に生まれた第2次ベビーブーマーである。この世代だけでなく、それに続く世代も含めて雇用や将来への不安があったことが、結果的にその後の人口動態に影響したとしても不思議ではない。

 総務省の住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、国内の日本人は1億2427万1318人で、前年より0・4%減少した。昨年の死亡数は過去最多の137万人超だ。出生数がこれを上回ればいいが、実際は90万人を下回り過去最少を更新した。

 人口の年齢構成をみれば、一気に出生数が増えるとは考えにくい。子供を願う世代の人口を急には増やせないからだ。人口減の傾向は当面続くとみるほかない。

 そんな中でのコロナ禍だ。新卒採用を控える動きもあり、来春卒業予定の大学生・大学院生に対する企業の求人数は前年比約15%減という民間推計もある。リーマン・ショック以来の厳しさだ。氷河期が再来すれば暮らしに及ぼす悪影響は長期に及びかねない。

 政府はコロナ対策で雇用調整助成金の拡充などを講じたが、非正規社員の解雇や雇い止めなども含めて雇用悪化に細心の注意を払い、必要な施策を機動的に講じる必要がある。企業もテレワークなどの働き方改革を徹底したい。コロナ禍の今だからこそ、これまで以上に危機感と覚悟を持って国難に対処しなくてはならない。

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