【主張】お盆とコロナ 最大限の注意払い帰省を

 お盆は、日本全国に定着している祖先をまつる行事である。墓に参り、先祖の霊と向き合う大切な機会だ。

 「Go To トラベル」に背中を押されての観光旅行の是非とは一線を画して論じるべきだろう。コロナ禍にあっても一律の帰省自粛を求めなかった政府の判断は妥当といえる。

 ただし、特に都市部での新型コロナウイルスの感染拡大は深刻である。都会の若者が帰省で故郷の高齢者にウイルスを持ち帰る事態は避けなくてはならない。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会はお盆休みに帰省した場合、高齢者と接する機会や飲酒・飲食の機会が多くなると指摘し、大声や3密(密閉、密集、密接)を避けるなど基本的な感染防止対策を徹底するよう求めた。

 これは帰省後の行動についてだが、加えて帰省前の1~2週間の行動を振り返ってほしい。大人数の宴会に参加していないか。夜の街に出入りしていないか。自らの行動にリスクがあれば、帰省の自粛を判断すべきだろう。

 分科会の尾身茂会長は「対策が難しければ、帰省はできるだけ控えていただきたい」と述べた。これを受けて会見した西村康稔経済再生担当相は「一律の自粛を要請するものではない」と話した。

 西村氏は当初、帰省について「慎重に考えないといけないのではないか」と述べていたが、菅義偉官房長官が「国として県をまたぐ移動を一律に控えてくださいと言っているわけではない」と軌道修正した。

 一連の発言はちぐはぐに聞こえるが、安倍晋三首相は「考え方が違っていることはない」と整合性に問題はないとの立場をとってきた。広島で6日に行った会見でも帰省の自粛は求めず、「高齢者の感染につながらないように十分注意してほしい」と述べた。

 一方で各自治体の首長からは、自粛を求める要請や、これを否定する声や「帰省する人を温かい心で迎えたい」とする発言まで、異なる意見が散乱している。

 危惧するのは、こうしたばらばらに映る状況下で、静かに墓に参る帰省客らが地元で白眼視されることである。

 そうした事態を防ぐためにも、「お盆と帰省」についての政府の統一見解を、安倍首相が明確に発信することが望ましい。

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