【主張】NHK経営計画 受信料下げへ合理化急げ

 NHKが令和3年度から3年間の中期経営計画案で、4波ある衛星放送(BS)を削減するほか、第1と第2に分かれているAMラジオ放送も1つに統合する方針を盛り込んだ。

 NHKは今春からインターネット同時配信を始めるなど、業務肥大化に対する懸念が根強い。だが、計画案はチャンネル数の削減時期や受信料引き下げは明示していない。合理化の実施時期を早急に決め、実効性ある受信料引き下げにつなげなくてはならない。

 そのためには、別々に受信料を徴収している地上波とBSを統合した新たな料金体系なども検討すべきだ。利用者本位の公共放送の姿をみせてもらいたい。

 NHKの受信料収入は年間7千億円以上にのぼる。このため、総務省では以前から受信料の引き下げを求めてきた。同省の有識者会議は今年6月、BS受信料の引き下げに加え、公共放送としての適正な事業規模を検討するよう求める提言をまとめた。

 NHKの肥大化を防いで民間放送との健全な競争を促すため、NHKはチャンネル数の削減だけでなく、受信料の徴収経費の削減や管理職の処遇見直しなどにも取り組むべきだ。合理化を通じて値下げ原資をきちんと確保し、視聴者に還元するのは当然だ。

 高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの商用化が始まり、NHKでは公共放送からネットを含めた公共メディアへの進化を目指している。今春から始めたネット同時配信もそれを見越した新たなサービスといえる。

 視聴者の利便性を高める新たなサービスは歓迎するが、これを理由に受信料を引き下げられないようでは本末転倒だ。コスト意識の欠如は許されない。民業圧迫の批判を踏まえながら、災害時の情報提供などで公共放送の役割を果たしてほしい。

 一方、世界では米ネットフリックスなどが動画配信サービスを相次いで強化している。こうした企業は莫大(ばくだい)な制作費を投じた独自コンテンツを提供しており、日本でも契約者が急増している。動画配信サービスで日本企業が競争に敗れれば、国内のコンテンツ産業の将来にも陰りが出かねない。

 競争に対応するため、日本の放送・通信業界が技術開発などで連携することも重要だ。NHKも積極的な協力が欠かせない。

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