【社説検証】李登輝元総統死去 各紙が「台湾民主化」を評価 「日本は叙勲検討を」と産経

 読売も「台湾の民主化の礎を築き、中国と一線を画した『台湾人』の意識を社会に根付かせた。日本や米国のパートナーとしての地位を確立したことと合わせ、功績は計り知れない」と強調し、「台湾の人々の一体性を強めた政治指導力は高く評価されよう」と称賛した。

 台湾の自由と民主主義は、今回のコロナ禍でも強い存在感を発揮した。朝日は「当局の積極的な情報公開によって市民が自発的に感染防止に動いたことが世界の注目を集めた」としたうえで、「個の自主と活力を尊ぶ文化が台湾の強みとして根付きつつある」とした。

 中国との関係を論じたのは日経だ。「香港の『一国二制度』はそもそも台湾統一の手段だった。だが中国は香港住民の民意を顧みず香港国家安全維持法を施行し、自ら一国二制度を形骸化させた」と断じた。そして「台湾側は中国の軍事圧力を懸念する。そこには緊迫する米中対立も絡む。万一、台湾周辺で偶発的衝突があれば日本の安全保障に直結する。十分な警戒が必要だ」と危機感を示した。

 李氏の改革は政治だけではない。李氏は台湾で戦後続いた反日教育をやめ、戦前の日本統治時代の公衆衛生やインフラ整備などを再評価する教育改革にも取り組んだ。産経は「李氏の改革がなければ、中国や韓国にも似た反日世論が、台湾になおも残っていた恐れがある」と指摘し、「いまからでも叙勲を検討すべきだ」と日本政府に求めた。

 日台交流に取り組んだ李氏は日本にとっても大きな存在だった。日本統治下の京都帝国大学(現京大)に在学中に学徒出陣し、陸軍少尉として終戦を迎えた。流暢(りゅうちょう)な日本語で現代日本を語る姿は、戦前に見られた議論好きな帝大生そのものだった。そこには私心なく、公に殉じる気高さが感じられた。(井伊重之)

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 ■李登輝氏の死去をめぐる主な社説

【産経】

 ・自由と民主の遺志次代へ(7月31日付)

【朝日】

 ・築き上げた民主の重み(8月1日付)

【毎日】

 ・平和的な民主化を導いた(8月1日付)

【読売】

 ・台湾に民主主義を根付かせた(8月1日付)

【日経】

 ・李登輝氏が残した貴重な遺産(8月2日付)

【東京】

 ・台湾の悲哀と誇り体現(8月1日付)

 (各紙最終版から)

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