【主張】金正恩氏の核演説 最大圧力へ態勢立て直せ

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、朝鮮戦争の休戦協定締結から67年の演説で、米国が求める核放棄に応じない姿勢を改めて鮮明にした。

 正恩氏は「核抑止力により、わが国家の安全と未来は永遠に堅固に保証される」と表明した。「最強の国防力」を不断に固めるとし、核・ミサイル戦力増強の方針も示した。

 2018年6月のトランプ米大統領との会談で語った非核化への「断固として揺るがない決意」はどこへ行ってしまったのか。

 はっきりしているのは、この2年余り、非核化への進展はなかったということだ。北朝鮮はより多くの核弾頭を保有し、多様な弾道ミサイルを発射した。正恩氏の発言を看過してはならない。

 米朝間の「交渉優先」機運を背景にこの間、北朝鮮への政治、経済、軍事的圧力は緩んだ。非核化交渉の再開に向けては、「最大限の圧力」レベルに態勢を立て直すことが第一である。

 国連安全保障理事会の決議違反である短距離弾道ミサイル発射を米国が容認したのは大きな間違いだった。違法行為に寛大なメッセージを与えてしまった。

 米韓合同軍事演習の延期や縮小も無用の配慮だった。北朝鮮に外交的善意など通用しない。

 韓国の文在寅政権が、米朝交渉の進展を見込んで経済協力の約束を含め融和路線を突き進み、日米との足並みを乱した。北朝鮮は6月、韓国への挑発を強め、南北共同連絡事務所を爆破した。融和路線と決別しなければならない。

 日米などは、北朝鮮が洋上で積み荷を移し替える瀬取りで1~5月、石油精製品160万バレル以上を密輸したと指摘した。安保理決議の定めた石油精製品供給の年間上限50万バレルを超えるが、そもそも瀬取り自体が決議違反である。

 17年12月までの安保理決議に盛り込まれた制裁は、十分に強力な内容である。問題なのは履行状況であり、掛け声だけで改善されないのはもはや明らかだ。安保理の北朝鮮制裁委員会からの中国、ロシアの排除など、監視態勢全般を見直す議論が必要である。

 米朝交渉について、正恩氏の妹の金与正党第1副部長は「非核化しないというのではなく、今はできない」と言っている。口先の駆け引きには乗れない。

 今は「最大限の圧力」の再構築に全力を挙げるときだ。

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