【主張】千代田区の混乱 選挙で区民の判断を仰げ

 東京都千代田区長と区議会が対立し、混乱が続いている。

 区長が区議会に解散を通知し、議会がこれに反発しているためだ。

 新型コロナウイルスの感染防止策や経済活動への支援に関する審議も滞っている。

 すべきことは多く、区政の停滞は許されない。まずは議論を尽くし、それでも折り合えないのなら、民意を問い、出直しを図るべきである。

 発端は、石川雅己区長が家族と購入した千代田区内のマンション取引をめぐる問題だ。事業者から優遇措置を受けた可能性があるとして、区議会が調査権限のある百条委員会を開催した。

 この中で、石川氏の証言に虚偽があるとし、刑事告発に向けた議案を可決した。石川氏は議案の可決は不信任に当たると主張し、地方自治法に基づく区議会の解散通知を議長宛てに提出した。議会側は、解散通知の無効確認と執行停止を求めて東京地裁に提訴し、全面対決している。

 地方自治法によると、議会が首長の不信任を議決した場合、首長は議会を解散できる。だが、不信任は議決されておらず、区選挙管理委員会は解散通知を無効と判断し、高市早苗総務相も「告発の議決が不信任議決を意味するとは考えにくい」と述べている。

 石川氏は、「選管がどのような見解を示しても解散の効力は続いている」とコメントした。

 双方とも司法判断を仰ぐ姿勢を示しているが、区長も区議も、選挙で有権者から信託を得た政治家だ。公の場で堂々と意見を戦わせるのが筋ではないか。すべき議論もしないのは地方自治の自殺行為である。

 区長は解散通知を取り下げ、事態の収拾に乗り出すべきだ。議会側の姿勢も問題だ。刑事告発しながら、区長への信任を続けるのは分かりづらい。解散による自らの失職を恐れてはいまいか。

 議会は区長への不信任決議案を可決し、区長は改めて解散を通知して選挙で民意を問えばよい。それができぬのなら、区長も議会も存在意義を問われよう。

 千代田区は全区民への一律12万円の給付金など、新型コロナウイルス対策費を含む補正予算案を審議中だ。議会の空転は、コロナ対策の遅れにもつながる。

 不利益を被るのは結局、住民である。

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