【主張】保健所とコロナ 危機管理の拠点強化急げ

 感染症は野火のように広がる。どこで、どのように発生し広がったかを把握することが、先手先手で対策を打っていく上で欠かせない。その危機管理の拠点となるのが保健所である。

 新型コロナウイルスの感染者が東京で再び増加している。重症者の割合が多くないことから病院は今のところ、4月のピーク時ほど逼迫(ひっぱく)していないとされる。一方で、都内の保健所の負担は増している。クラスターを追いかける業務に重症も軽症もないからだ。

 日本看護協会は8日、加藤勝信厚生労働相に対し、保健所の体制整備を提言した。保健師など職員の十分な配置が必要だ。

 厚労省は保健所を持つ都道府県や政令指定都市、特別区などに対し、7月末をめどに体制強化を図るよう求めている。

 保健所が緊急事態宣言のさなかのような深刻な人手不足に再びあえぎ、クラスターの追跡やPCR検査の調整、感染症関連情報の集約などが滞ってはいけない。

 第2波のピーク時における陽性者数、検査件数、相談件数などの最大需要の想定から増やすべき人数を割り出す。その上で、病院で看護師として勤めている保健師の応援や、家庭に入ったり引退したりしている潜在保健師の復職を早急に進めたい。

 その対応に最終的な責任を負うのは政府や知事、その他の首長であることを指摘しておきたい。

 保健師でなくてもできる仕事も保健所にはある。保健師と保健師以外の職員の業務を思い切って分けたり、一部業務の民間委託を実現したりすることも必要だ。

 看護協会は提言で、政府の新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金の対象に保健所職員を含めるよう求めた。

 幅広く待遇改善を検討し、保健所で働く人たちの士気を保つことも重要な視点である。

 ICT(情報通信技術)活用も欠かせない。保健師が業務に忙殺されて患者などの情報入力が遅れるようでは心もとない。

 保健師の大切な役割はほかにも多く存在する。災害発生時には避難所で感染症対策や住民の心身機能の維持に携わる。家庭を訪問して新生児虐待の兆候をつかんだり、糖尿病予備軍の健康管理に当たるのも務めだ。地域保健の担い手として働ける体制も整えていくべきである。

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