【主張】コロナ再拡大 市中感染抑止の具体策を

 東京都の新型コロナウイルス感染者が再び急増し、他の地域への拡大傾向もみられる。

 都内の新規感染者は、3日連続で200人を超えた。感染者50人超で高止まり状態だった6月下旬から1週間ごとに倍増するペースである。

 政府は「重症者は少なく、医療体制が逼迫(ひっぱく)する状況ではない」として、イベント開催の制限緩和や観光産業を支援する「Go To トラベル」事業を推し進める。

 経済・社会活動の再開に舵(かじ)を切るためにも、政府と東京都はコロナ再拡大を抑え込むための具体策を提示する必要がある。

 小池百合子都知事は西村康稔経済再生担当相らといわゆる「夜の街」対策について協議し、集中的な検査の実施などで合意した。

 ホストクラブなど「夜の街」を震源とする感染拡大は20代、30代の若年層がその多くを占める。感染者数の急増は、特定地域の接客を伴う飲食店を対象に積極的に検査を行った結果である。

 検査によって感染状況を「見える化」することは、感染拡大の抑止につながる。緊急事態宣言を発令した4月と今では、状況が違うことは間違いない。

 ただし、決して楽観できるような状況ではない。「夜の街」に絞った対策では不十分である。

 現在進行中のコロナ再拡大はすでに「夜の街」にとどまらず、家庭や職場での感染例が報告されている。東京から近隣県、首都圏外へも波及し始めている。特定の地域や業態に限定されない「市中感染」とみなすべきである。

 政府と東京都が打ち出すべきなのは、「市中感染」ととらえたコロナ再拡大への対応策である。課題を2つ挙げる。

 一つは、重症化リスクの高い高齢者層への感染の広がりを抑え医療体制を逼迫させないこと。もう一つは、医療体制が脆弱(ぜいじゃく)な地方への波及を食い止めること。その具体策を政府が早急に示し、自治体と連携して実行に移すことが求められる。

 緊急事態宣言下のように、経済・社会活動をほぼ全面的に止めることはできない。しかし、首都圏と圏外の人の往来を一定程度制限することなどは、議論から排除せず検討すべきである。

 国民が理解し協力できるコロナ対策を、政府が打ち出すことが日本経済を動かす力にもなる。

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