【主張】北大学長の解任 象牙の塔の意識を変えよ

 大学改革で学長の役割が重みを増すなか、残念な不祥事である。北海道大学の名和豊春学長が解任された。職員を過度に叱責するなど不適切な行為が理由とされる。

 再発防止のためにも事実を詳(つまび)らかにし、信頼回復を急ぐべきだ。併せて各大学は、優れた学長を選び、支えるガバナンス(組織運営)を改めて見直してもらいたい。

 国立大学長の解任は法律に基づき大学の学長選考会議の申し出を受け、文部科学相が判断する仕組みだ。今回、北大の選考会議が学長に関して指摘した30事案について文科省が文書や録音データなどを調査、28件を事実と認めた。

 職員への威圧的な言動や過度の叱責のほか、学外要人との面談を合理的理由なくキャンセルするなど大学の信用を失墜させる行為があったという。萩生田光一文科相は会見で「手続きにのっとり慎重に判断した」と述べた。

 名和氏は「パワーハラスメントをしていないという訴えが認められず残念」などと不適切な行為を否定し、処分取り消しの訴訟を検討するという。

 文科省は不適切とした行為についてプライバシーなどを理由に詳細を明らかにしていない。何があったのか、分かりやすく透明性のある説明が必要だ。

 名和氏は問題発覚後、体調不良を理由に休職し、学長不在が1年半にわたっている。その間、昨年9月に中国を訪問した北大教授が中国当局に長期拘束される問題もあった。学長不在では危機にあたる対応などに不安が拭えない。

 新型コロナウイルス禍に対応した学生への支援など、大学の課題は山積している。指揮官不在で混乱している暇はなかろう。

 学長がリーダーシップを発揮して大学改革を進められるよう、学長の権限強化が図られている。国立大では、学長選考も教授らの投票でなく、学外識者を入れた選考会議が適切な人材を選ぶ制度になっている。その制度が機能しているかどうかの検証も必要だ。

 パワハラ行為については、双方で言い分が食い違うことが少なくない。だが、職員らとの関係がこじれては職務を全うできまい。

 他大学も人ごとではない。教員同士や学生へのパワハラ問題も後を絶たない。独善的、閉鎖的といわれて久しい「象牙の塔」の意識を改めるときである。

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