【主張】感染再拡大 「緊急事態」視野に議論を

 東京都は2日、新たに107人の新型コロナウイルス感染が確認されたと発表した。

 都内で1日当たりの感染者が100人を超えたのは5月2日以来だ。6月下旬から続いていた感染者50人超の高止まり状態から、一気に3桁へと跳ね上がった。

 小池百合子都知事は今の状況を「感染拡大要警戒」の段階と位置付けた。

 また、菅義偉官房長官は緊急事態宣言について「直ちに再び発出する状況に該当するとは考えていない」と述べた。

 東京を中心とする首都圏の感染再拡大に対する危機感が、これでは都民や国民に十分に伝わらないのではないか。

 5月25日に緊急事態宣言を解除して以降、政府も東京都もコロナ対策の重心を経済活動の再開に置いてきた。都の「東京アラート」が廃止され、新たな指標は警報としては分かりづらい。感染の状況は正しく、分かりやすく伝えなければならないはずだ。

 政府は、緊急事態宣言の再発令も現実的な視野に入れて、直ちに首都圏のコロナ感染再拡大への対応策を議論すべきである。最悪のケースを想定し、備えるのは危機管理の基本だ。

 東京都の感染再拡大は、ホストクラブやキャバクラなど、いわゆる「夜の街」を震源地とするものだが、家庭や職場での感染例も報告されている。新宿から池袋や秋葉原へ、さらに都県境を越えて感染が広がる事例もみられ、経路不明の感染者も増加傾向にある。地域や業種が限定されない「市中感染」とみなすべきだ。

 首都圏で緊急事態宣言の再発令が必要となった場合でも、前回の宣言時のようにほぼ全面的に経済・社会活動を止めてしまうわけにはいかない。

 経済を回しながらコロナの拡大を食い止めるために、叡智(えいち)を集めて備える。その議論に、早過ぎるということはない。

 議論の柱とすべき項目を2つ挙げておきたい。

 一つは、医療態勢が崩壊、切迫する状況をつくらないことだ。今後、重症患者が急増した場合でも適切な医療が提供できる態勢が求められる。

 もう一つは、感染の地域的拡大を抑え込むことである。首都圏以外の地域を感染再拡大の危機にさらさないことも大事だ。

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