【主張】宣言解除1カ月 コロナの新局面に覚悟を

 新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が全面解除された5月25日から1カ月が経過した。

 この間に、ほぼ全ての業種への休業要請が解除され、都道府県境をまたぐ移動も解禁された。プロ野球は無観客でシーズンを開幕した。社会生活は徐々に日常を取り戻しつつある。

 だが、東京は24日、宣言解除以降で最多となる55人の感染者が報告された。25日も48人の新たな感染が分かった。新宿区内のホストクラブを中心に実施している集団検査が影響した側面もあるが、感染経路不明の報告も多くある。

 いまだ有効なワクチンや治療薬の開発もなく、感染再拡大の懸念は去っていない。

 米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナ感染症による死者は25日、世界全体で48万人を超えた。12万人以上が亡くなった米国では4月のピーク時に迫る勢いで再拡大が進んでいる。ブラジルなど中南米の感染拡大は特に深刻である。5月上旬に全国で規制を緩和したドイツでは、食肉処理工場で集団感染が発生し、一部で規制を再導入した。

 コロナ禍に気を緩めてはならない。では国内でも再び徹底した自粛生活に戻るか。それでは経済が破綻し、社会がもたない。感染防止と経済回復の両立という難しい新局面への覚悟が求められる。

 まずは「3密」を避けるといった政府による「新しい生活様式」を参考に各自が自衛の努力を続ける必要がある。各企業は宣言期間中に得た在宅勤務などのノウハウを、可能な限り生かし、継続すべきである。これらは感染防止とともに、再び自粛生活に戻らないための努力でもある。

 幸いに、4月末には5千人以上いた入院患者は600人以下となっている。新たな感染者には軽症や無症状の人が多い。最も危惧された医療提供体制の逼迫(ひっぱく)はほぼ解消されているといっていい。この間に政府は第2波に備える万全の態勢を整えなくてはならない。

 加えて大雨の季節である。地震も頻発している。政府や自治体は感染防止と緊急避難の両立も準備を怠れない。抗原、抗体を含む検査体制の拡充も急いでほしい。課題は今も山積している。

 敵は未知のウイルスである。全ての対応に正解を求めることは難しい。その都度、最善の道を探るしかない。

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