【主張】医療介護の経営難 献身に報いる支援尽くせ

 新型コロナウイルス禍の影響で経営が悪化する病院が増えている。高齢者を支える介護事業所も同様に苦境に立つ。ともに人々の命と生活を守る最前線であり、看過できない深刻な事態だ。

 感染リスクにさらされながら業務に献身する医療や介護の従事者が、自らの生活に不安を抱くことがあってはならない。コロナ禍の第2波、第3波を乗り越えるためにも、病院などの経営を支える取り組みに万全を期したい。

 日本病院会など3団体が全国の病院に実施した経営調査では、4月の医業損益は平均3700万円の赤字だった。とりわけ東京都で新型コロナウイルスの患者を受け入れた病院の赤字額は大きく、平均で2億4千万円を超えた。

 病床確保のため手術を延期したり、病床や病棟を一部閉鎖して感染症病床を設けたりしたためだ。コロナ患者を受け入れていない病院も、外来患者が感染リスクに備えて通院を控えたのが響いた。

 このため政府は、病院が受け取る診療報酬の前払いを行い、新型コロナの重症患者を治療したときの診療報酬を3倍にした。患者の受け入れのため空けた病床への補助や医療機関への無利子・無担保の融資制度、病院職員らに対する最大20万円の慰労金も決めた。

 いずれも医療の現場を支えるために欠かせぬ施策だ。ただ、これで十分かどうかは絶えず検証が必要である。コロナ禍が長期化すれば、すかさず財政支援を拡充する柔軟な対応が求められよう。

 第2波に備えて患者を受け入れる医療機関を増やし、そこに支援を集中するなど、医療崩壊を招かぬための体制整備も急がなくてはならない。患者を受け入れた病院や医療従事者らの苦労に報いることが肝要である。

 介護事業所の経営支援も喫緊の課題だ。感染を恐れてサービスを敬遠する利用者が相次いでいる構図は、通院患者が減った医療機関と同じである。人とまちづくり研究所の調査では3割の事業所で収入が減少した。特にデイサービス事業所の収入減が著しい。

 政府はすでに介護報酬の特例的な請求を認めている。大胆な支援をためらってはならない。新型コロナの重症化リスクは高齢者ほど大きい。コロナ禍のせいで介護サービス体制が揺らぎ、介護を必要とする人たちにしわ寄せがいくことは許されない。

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