【主張】G7対中声明 日本は行動で撤回を迫れ

 先進7カ国(G7)の外相と欧州連合(EU)の上級代表が、中国による香港への国家安全法制導入に「重大な懸念」を表明する共同声明を発表した。中国政府に対して決定の再考を求めた。

 中国外務省の報道官は内政問題だとして「強い不満と断固たる反対」を表明した。

 国家安全法制の導入は、香港に認められてきた基本的権利を侵害する。香港市民や英政府が反発していることから分かるように、返還から50年間にわたる一国二制度を定めた中英共同宣言に真っ向から違反している。

 国際社会との約束を中国が反故(ほご)にしないよう、G7が声をあげるのは当然のことだ。

 日本は自由と民主主義、法の支配という価値観を掲げるG7のうちアジアで唯一の国である。安倍晋三政権が共同声明とりまとめに尽力したことは評価できる。

 これから安倍政権には声明にとどまらない行動をとってもらいたい。G7各国と協力しつつ、中国の国際約束違反への対抗措置を表明し導入の撤回を迫るべきだ。

 国家安全法制は、全国人民代表大会(全人代)常務委員会の可決を経て、早ければ月内に香港で施行される。国家の分裂、政権の転覆、テロ活動、海外勢力と結託して国家の安全に危害を与える行為-という4分類の「犯罪行為」が明記される。

 G7声明は、この法制が「香港を長年にわたり繁栄させ、成功させたシステムを危うくする」と指摘した。「法の支配や独立した司法システムの存在により保護される全ての人民の基本的権利や自由を抑制し、脅かすことになる」との強い懸念を表明した。

 中国の習近平政権は、少数民族ウイグル族を共産党支配に反抗的だとみなし、容赦なく弾圧している。香港でも遠慮はすまい。

 言論や表現、集会などの自由を保障した一国二制度は有名無実化する。多くの市民や企業が海外へ脱出する可能性があり、外に開かれた国際都市の地位も根底から崩れるだろう。

 米国は昨年11月に香港人権民主法を制定した。それに基づき、中国政府が国家安全法制導入を強行すれば、香港に認めてきた関税やビザ(査証)の特別優遇措置を撤廃すると表明した。安倍政権も具体的行動により中国政府に翻意を迫ってもらいたい。

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