【主張】都知事選告示 コロナ後の将来像も示せ

 新型コロナウイルス感染症の蔓延(まんえん)で大きく構造変化を起こした社会経済をどう導くのか。18日告示の東京都知事選は、首都のみならず、日本のあるべき将来像を描くための重要な機会である。

 だが、日本記者クラブが主催した立候補予定者の討論会は、コロナ時代の暮らしや経済活動の議論を尽くしたとはいえず、物足りなさが残った。

 今後4年間を託すリーダーの選挙である。コロナ禍の第2波に備える具体的な対策はもちろん、新たな生活様式に即して中長期的に東京をどう変えていくのかについても議論を深めてもらいたい。

 討論会には、小池百合子都知事のほか、元日弁連会長の宇都宮健児氏、れいわ新選組の山本太郎代表、元熊本県副知事の小野泰輔氏、NHKから国民を守る党の立花孝志党首が出席した。

 密集を避けるため、街頭演説などの従来型選挙は難しい。テレビ会議で行われた討論会は、コロナ禍のさなかの選挙戦として一つのあり方を示した。各氏は今後もインターネットなどを活用し、有権者に判断材料を示してほしい。

 選挙結果にかかわらず、コロナ対策は最優先課題である。小池氏は東京版CDC(米疾病対策センター)の設立に言及した。「屋上屋を重ねるつもりはない」としているが、国との役割分担などをもっと具体的に語る必要がある。宇都宮氏は非正規労働者らへの影響を取り上げて「生存権がかかった選挙だ」と訴えた。

 コロナ対策を票目当ての画餅に終わらせてはならない。各氏は施策の工程表や財源の確保などをきめ細かく提示すべきである。

 東京五輪・パラリンピックへの対応については違いが鮮明になった。簡素化した大会の実現を目指すという小池氏に対し、中止を訴えた山本氏らもいる。

 開催するなら都の追加負担をどうするか、中止するなら国際社会への約束を守らないことに理解を得られるかなどを明確に語るべきだ。延期されたといっても1年後の開催予定である。漠然と総論を論じるだけでは済まされない。

 残念なのが、首都直下地震への対策についてほとんど語られなかったことだ。いつ起こるか分からない災害への備えが重要なことはコロナ禍で得られた教訓である。これなくして都民が安心して暮らせる未来はあり得まい。

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