【主張】再処理工場の合格 核燃料サイクル確立急げ

 日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の安全対策が、新規制基準に適合したことを意味する審査書案が原子力規制委員会によって取りまとめられた。

 事実上の安全審査合格である。完全合格には工事計画などの認可を得なければならないが、平成5年の着工以来、27年の歳月を経てようやく工場の完成が目前に見えてきた。

 わが国の電力安定供給に資する大きな前進として歓迎したい。

 石油や天然ガスなどに恵まれない日本にとって原子力発電の利用はエネルギー安全保障上、避けて通れない道である。

 日本の原子力政策は、ウラン資源を有効に使う核燃料サイクルを基本としている。再処理工場は、このサイクルを循環させる上での基幹施設なのだ。

 再処理工場では、原発の使用済み燃料を硝酸で溶かすなどして、混合酸化物(MOX)燃料にするウランとプルトニウムを回収する。各工程は個別の建屋で進められ、処理液は地下トンネルの配管を通って次の工程へと進む。配管の総延長は1300キロに及ぶ巨大な化学プラントなのだ。

 こうした大規模施設とあって工事は難航し当初、4年後の予定だった完成は、延期を繰り返し、7600億円と見込まれた建設費も2兆円以上に膨らんだ。

 最後の難関が高レベル放射性廃棄物をガラス固化体に仕上げる工程だった。原燃は平成25年5月に固化体の安定製造能力を実証したのだが、工場の完成認定は福島事故後に発足した規制委による審査を受ける制度に変わっていた。

 このため、再処理工場は実質的に完成していたにもかかわらず、今回の審査書案のとりまとめまでに7年の歳月を要することになったのだ。

 原燃側にも不備や不注意はあったが、規制委が求めた付近の断層調査に過剰な部分はなかったか。慎重な審査は必要である。同時にスピードも求められる。

 莫大(ばくだい)な建設費に対する批判の声もある。しかし、原燃は民間企業だ。「もんじゅ」のように税金を使ったわけではない。同社の労をねぎらいたい。核燃料サイクルの確立は、途上国の発展によって今後、世界のエネルギー需要が増していく中で、日本が持続可能な発展を確保する上での生命線だ。そのことを忘れてはならない。

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