【主張】「3密通勤」の解消 新たな日常の具体像示せ

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎながら、経済、社会活動を再開し日常生活を取り戻すためには、持続可能な感染予防策を企業活動や個人の生活に織り込み、実践していく必要がある。

 大都市圏における重大な課題の一つが、朝夕の通勤通学・帰宅ラッシュの解消である。

 コロナ以前の一般的な会社員の生活を思い浮かべてみよう。何人もの見知らぬ人と、ひしめくように接触する超過密状態に数十分も耐えなければならない。電車通学の学生、生徒も同じだ。

 通勤・通学地獄は日本で起こる最大規模の「3密」であり、都市生活の感染リスクの大きな部分を占めていることは間違いない。

 緊急事態宣言のもと、学校の休校、テレワークや在宅勤務の拡大、オフピーク通勤などの対策が行われた。引き続き、乗客数の抑制と時間分散に取り組む必要があるが、学校が再開し社会・経済活動が活発になった後も、宣言下での取り組みを継続できるとは限らない。

 個人や企業にテレワークやオフピーク通勤などを要請するだけでは不十分だ。鉄道会社、企業、官公庁、学校の取り組みを効果的に結び付け、新しい社会システムとして定着させる必要がある。

 都県、府県をまたぐ問題であり、国土交通省、経済産業省など省庁を横断する課題である。政府主導で、通勤・通学地獄のない「新たな日常」の具体像を示すべきである。緊急事態宣言の期限を考慮すればただちに検討チームを立ち上げ、月内に結果を出すことが求められる。

 業種にもよるが、土日一斉休業の見直しも検討に値するだろう。従業員100人の会社をモデルにすると、100人が週5日就労する現行の週休2日から、70人が7日間就労し30人が交代で休むことにするのだ。労働量と休日数はほぼ現状のまま、1日当たりの通勤者数を3割減らせる。

 感染リスク低減のため、マスク着用の義務化や乗客数の制限も検討課題となるが、鉄道会社まかせにはせず総合的に判断することが重要だ。首都圏や近畿圏でそれぞれ、持続可能で最適な取り組みを提示してもらいたい。

 過密電車の解消は感染症対策にとどまらず、すりや痴漢などの犯罪の抑止、生産性や学習意欲の向上にもつながる。

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